【神様にお願い2☆ 7】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)
神様にお願い2☆ 7  
7.





「最近、付き合いワリーぞ、お前!」
ぶすーっとむくれたケンジが言う。
学校からの帰り道。
家の近所の公園で、ロージーを待っていたらしいケンジ。
「ごめんね、ケンジ…。また今度遊んでね」
「また今度って、前の時もそう言ったじゃん!」
「うん、ごめん…」
申し訳なさそうに謝るロージーの顔を、傷ついた様子で見上げて…。
「ちぇ、ロージーのばぁーーか!もう知らねえっ!」
ケンジはそう言うと、だっと駆け出した。
「あっ」
ガタガタと重そうな音を立てて揺れるランドセル。
「ケンジ!」
「絶交だかんな!」
ロージーの声にクルリと振り返ったケンジは、そう言ってべーっと舌を突き出すと、また向きを変えて走って行く。


『……何つーか……。帝もちゃっかり側に転生してんのな〜…』


そんな様子を近くの電線に止まって眺め、ヨイチは呆れたような、感心したような声を上げた。
『そんでもってまた熱烈アタックしてるんだね。まあ、今はムヒョが側にいるから、誰がモーションかけても無駄だろうけど…』
そうだねと、エンチューは駆けて行くケンジを見送って呟く。
『あー…成る程、もし…ってやつか?』
『うん、もし、ムヒョと出会わなければ…ロージーはあのケンジって子の事を好きになったかも知れない』
『確かに強い縁を感じるよな。いつも一緒に転生してんのかも…』
『ムヒョもとっとと連れてっちゃえばいいのにね…、今のままじゃ悪戯にあの二人が傷つくだけだよ』
『ああ、それに……』
ヨイチはそこで言葉を切ると、チラリとロージーの側にある電柱の影を見やった。
エンチューも黙って頷く。
最近時々『ソレ』が視界の隅をチョロチョロしていた。
小さなソレは、勿論人ではなく。
どちらかと言えば精霊に近いようなモノで…。
悪意は特に感じられなかったから。

『……誰の偵察隊だろうね…?』

エンチューはため息を一つ付くと、そう呟いた。




+   +   +   +   +



「ねえ、どうしよ〜、ムヒョ?ケンジが怒っちゃってさ〜…」

ハーッと盛大にため息を付いて…。
ロージーはベッドに転がると、丸くなっていたムヒョにそう話しかけた。
「絶交って言われちゃった…」
『あ?ほっとけ、んなの…』
面倒臭そうに答えるムヒョ。
「埋め合わせ…した方がいいよね。今度、動物園でも行こうかな…」
『………』
「あ!もう、ムヒョったら!ネコパンチなんてひどーい!何でそんなことするの?めっ!」
ぺしっと鼻先をぶたれ、唇を尖らせるロージーに、ムヒョは不満げな鳴き声を上げた。
「言い訳しないの!」
『言い訳なんざするか!』
「もう!ムヒョったら…どうしたの?今日はご機嫌ナナメなの?」
『………』
抱き上げられた身体を捩り、ムヒョはロージーの唇をペロリと舐める。
「ひゃ、ん…っ、ムヒョってば…っ!」

「…オメェ、やっぱり帝が気になんのか?」

「え?」
ふいに聞こえた人の声に、一瞬瞑った瞳をバチッと開ければ、真上にムヒョが居た。
ネコの姿ではなく、人の姿で。
「…む…ひょ……?」
えっと…?と戸惑って、ロージーはムヒョを見つめ、小首を傾げる。

あれれ?今、ボクはムヒョと喋ってて…。
でも、目の前にいるのもムヒョで…。
えっとえっと…あれ?
ここ、ボクの部屋じゃ…ない…?

いつの間にやら、そこは見慣れた宮殿の室内。
そう、池の中のムヒョの宮殿…。
ムヒョの大きなベッドの上に倒された状態で…。

「帝の側にいてぇか?」

「ムヒョ?何言ってるの?」
再度問われ、ロージーはクスリと笑った。
「ミカドって誰?」
「何ダ、覚えてねぇのか?」
「え〜?だって、知らないよ?」
ヒッヒと笑うムヒョに、ロージーは不思議そうな顔をする。
「そうか、知らねェか…」
知らないよ?ともう一度言う唇に、柔らかく口付けて…。
ムヒョはまたヒッヒと笑った。

知らないことが…覚えていないことが…嬉しかった。

そして、これでもう十分かも知れないとさえ思う。

このロージーを、またここに連れてきてしまってもいいのではないかと…。


千と百もの年月を経ても尚、ロージーの想いは自分にだけ向けられていると…確認出来たような気がして…。


嬉しさにゾクゾクするまま、口付けを深くする。
歯列をなぞり、口内をゆるりと舐めて。
舌先が触れ合えば、跳ねる鼓動と共に身の内で膨らむ確かな欲望。
ぎゅうっと縋るロージーの手に力が籠もり、怖ず怖ずと返して寄越す応えがまた、ムヒョを煽って…煽って……。


だが、ゴロロ…と遠くで鳴った雷鳴に、ムヒョの理性は危うい所で繋ぎ止められた。


「ふぁ…ん…、ムヒョ…もっとぉ……」

熱の籠もったキスがふいに止んだので、ロージーは瞳を閉じたまま切なげに声を上げた。
途端、ニャアなんて…。
聞こえてきたのはネコの声…。
「…え?」
長いヒゲがチクチクと頬に当たり、続いてグリグリと頭を押しつけられる。
艶やかな毛並みが肌を滑る感触…。
「あ、あれ?」
ロージーが思わず身を起こすと、ムヒョはひょいとベッドから飛び降りた。
「え……っ、今…、夢……?」
キョロキョロと周囲を見回すが、ソコは確かにロージーの部屋のロージーのベッドの上。
ただひとつ、さっきと違うのは窓の外の空模様だけで…。
先程まで雲ひとつない程の快晴だった空は、今は暗雲が立ちこめ、ゴロゴロと不穏な音を立てている。

えっとえっと…???
ボク、今……ムヒョとキス…して……。
でもでも、それは人間のムヒョで…。
それでそれで…もっと…なんて……。

ドキドキと騒いでいる胸。
「…ムヒョ……?」
呼べば黒猫はニャアと鳴き、ジイッとロージーを見上げた。
アーモンド型の青い瞳は、見つめていればスウッと細くなって…。
それはまるで笑っているかのように…。
ヒッヒと笑う声が、聞こえそうで……。


” 「でも、憑いているのは本当よ」 ”


アイビーに言われた言葉が、ふいに脳裏を過ぎる。

………あくりょう…って、言ってた……。
悪霊って、悪いものだよね……?

「…ムヒョじゃ…ないよね…?」

不安になってドキドキしながら訊ねれば、ムヒョはニャアと…。
ロージーには否定とも肯定とも区別のつかぬ声を上げ、ゴロゴロと喉を鳴らした。




+  8を読む  +  6を読む  +



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とゆことで、お久しぶりでございます〜〜;;;
もうひと月近くも更新していなかったのですね…orzorz
何が週一更新だオマエ…と呆れつつ(爆)
お付き合い頂いております方には、お待たせして申し訳ありません(ホントに;)であります。

次の〆切まで、また少し間が空きますので、懲りずに週一更新目指すぞー!とか思ってます。はい。
読んでやって頂けると嬉しいのです☆
 2007/10/05(金)/13:30:21  No.68



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