【恋は嵐。その5】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)リンク切れ修正致しました〜!ご不便お掛けしましたorz(5/23 am9:20)
恋は嵐。 その5  
5.



「オイ。恋愛ってヤツの正しい手順を教えロ」

翌日…。
ヨイチは登校するなり陰へと呼ばれて…。
何だよ?と聞く前に、ムヒョがそう言った。
「はい?」
何か聞き間違えたかと思い、パチパチと瞬きを繰り返した後で、もう一度ムヒョを見つめるヨイチ。
今、何かムヒョの口からあり得ない発言を聞いたような気がする。
だが、
「…だから、恋愛の正しい手順ダ」
再度、真面目な顔でムヒョは言う。
仁王立ちの彼。
尊大な態度と言葉のギャップに、ポカンとしていたヨイチだったが、やがて…。
「…はは〜ん、さぁてはあの子に泣かれたんだろ〜?何やっちゃったんだよ、ムヒョ〜♪」
その顔にニヤニヤ〜とからかいの笑みが広がった。
「ウルセェ。いいからとっとと教えロ」
「ふぅん♪お前にそこまでさせるってのは、どんな子なのかねぇ…興味湧くなぁ♪」
「ヨイチ…」
「おーおー、睨むなって。わかったわかった。んで?正しい手順だっけ?」
コクッと頷いたムヒョを物珍しそうに眺めてから、ヨイチはそうだなぁと呟く。
「ま…正しいってのも別にないと思うけどな…。ムヒョの場合、何よりの問題は口が足りないって事じゃないか?」
「…………」
付き合いの長さ故の遠慮のなさでズバッと言われ、ムヒョは顔を顰める。
「まずはちゃんと気持ちを伝えて、通じ合ったな〜ってトコで手でも繋いでみるとかさ」
「…手を繋ぐ…?」
「そ。まずはそこからが妥当じゃねぇ?お前なら、さ?」
ニッと笑ってウィンク一つ。
恋愛経験豊富(本人談)なプリンスヨイチ様のアドバイスに、けれどムヒョは思い切り微妙な顔をした。
「…………」
「…おい?」
ヨイチが怪訝そうに眉根を寄せる。
「何だよ?まさかお前…イキナリ押し倒したりしたんじゃねーだろな?」
「…押し倒したワケじゃねーが、まだ早いと言われた」
「マジでか?!?!何したんだよ?!」
「つーか、それが分かんねェ。そもそも何に対して早ぇんダ?」
謎だと呟くムヒョの問いに、ヨイチもまた一瞬沈黙して……。

「……こ…心の準備…かな?」

えへっなんて誤魔化し笑いを浮かべながら…。
「…嘘臭ぇ…」
見るからに胡散臭そうに顔を顰め、ムヒョが呟く。
その上、
「チッ、ヨイチに聞いたのが間違いだったナ…」
なんて毒づいて…。
「うわ、ひっでー!んなこと言って、無理矢理ヤってロージーちゃんに訴えられても知らねーぞ!」
「アホめ!んなことするか!」
ぷいっと顔を背け、ムヒョはふとロージーを思い浮かべた。
今朝起こしに来たロージーは、昨日のことがあるからか、ムヒョに接近しようとはしないで…。
食堂へ行くときも学校へ行くときも、やや距離をとり、何処か身構えているのが分かったから…。
失敗するとこうなるのだという事を、ムヒョは身を持って学んだのである。

泣かれるのもイヤだが、避けられるのはもっとイヤだと思う。

ムヒョは胸の内で深々と溜め息を付いた。
これから暫くあんな調子だったりするのだろうか。
そう思えば、何とも気が重く情けない。

「……ま、とにかくあれだ。恋は焦らずってヤツだな」

少し沈んだ空気を感じ取ってか、ヨイチは溜め息をひとつつくと、励ますように言う。
それも何だか癪に障って…。
ムヒョは少しばかり口をへの字に曲げて見せた。



そして、放課後も…。

隣を歩くロージーとは、微妙な距離が空いている。
「………」
校門を出る前から、会話は途絶えて…。
何とも居心地の悪い沈黙と空気の中、ただテクテクと二人は並んで歩いていた。

昨日、ロージーはムヒョが好きだと言った。
ムヒョもロージーが好きだし、ちゃんとそう言った。
だが、お互いに好き合っていても、恋愛というのは簡単には進まない物らしい。

『まずはちゃんと気持ちを伝えて、通じ合ったな〜ってトコで手でも繋いでみるとかさ』

苦い思いを噛み締めながら、ヨイチのアドバイスを思い出して…。
「おい…」
「な、何ですか?ムヒョ先輩?」
スッと動いたムヒョに、思わずじりりっと後ずさるロージー。
「……逃げんナ」
ムヒョは少し傷ついた顔で、そう呟いた。
「手ダ。手…」
「え?」
手?と首を傾げたロージーの手を、ムヒョは強引に掴んだ。
「え、わ、わわわっ、ムヒョ先輩?!」
かああああっと真っ赤に染まるロージ−の顔。
何だか気恥ずかしくて、ムヒョはぷいっと視線を逸らす。
「帰るゾ」
「えっ、こ、このまま?手を繋いで…?」
グイと手を引けば、驚きに満ちた声と顔でそう聞かれ、ムヒョは再びロージーを見つめた。
「…イヤか?」
勢い良く左右に振られる頭。
「そ、そんなことはないですっ!」
「なら、行くゾ」
「はいっ!」

その『はいっ』は、もの凄く元気が良くて…弾んでいるみたいで…何やらすごく嬉しそうに聞こえたから…。

ムヒョは半歩先を歩きながら、ふっと笑みを浮かべた。
何だかホッとして、とても嬉しかった。
自分の手の中にあるロージーの手。
それは温かくて…同じ男なのだろうかと思う程、柔らかで…。
手を引いて歩きながら…チラリと見れば、ロージーの俯いたその口元がハッキリと笑みの形を刻んでいるのが見える。
少しはにかんでいるような、とにかく嬉しそうなその笑み。
「…………」
何やら胸がドキドキと騒いだ。

……成る程、心の準備、か…。
今、コイツの心の準備はここまでなら出来てるってことなんダナ。

ヨイチが言ったときは、もの凄〜く嘘臭く感じたその事が、ロージーを見ていると妙に納得出来て…。

「…まぁ…、少しくらいは待ってやる」

ムヒョは独り言のように呟いた。
「はい?」
きょとんとした瞳が、上を向く。
昨日触れた柔らかな頬。
笑みの形に少し上がった唇。
いつ見ても可愛らしいロージーに、また触れたいと思うのを、今日はぐっと我慢して…。

恋は焦らず、らしいからナ。

「いや、何でもねェ。行くゾ」
ヒッヒ、と。
ムヒョは困ったように笑いながらそう言った。




+  続く  +  4を読む  +




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1週間に1度くらいは何か更新を!とか思うので、SSの続きを。
たまにこーゆーぴゅあ〜なの書くのもいいよねぇ〜。
でも、妙に気恥ずかしいんですが(笑)
恥ずかしいと言えば、ムヒョに恥ずかしいコト言わせるのって楽しいです♪
恋愛の正しい手順だの、心の準備だの、恋は焦らずだの。。。
原作ムヒョは絶対言わないよ〜♪
分かってるからこそ、うひゃ〜、六氷さんたら恥ずかしい〜vvvとか、何か楽しくなっちゃうんだよな♪
同人屋って素敵(笑)
ちなみに、ロジ子の場合は乙女恥ずかしいもエロ恥ずかしいも、本人自覚なしでぺろっと言っちゃう感じなので、それ自体が楽しいというより、それに対してのムヒョの反応を書くのが楽しいのだった。
周りがどよめいてる中で、ムヒョは無反応だったりしても楽しい…vvv
ムヒョロジって素敵だわ…vv ←何か考えちゃった模様
 2007/07/05(木)/15:38:55  No.58



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