【恋は嵐。その4】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)リンク切れ修正致しました〜!ご不便お掛けしましたorz(5/23 am9:20)
恋は嵐。 その4  
4.





「思ってた以上に行動が早いじゃないか、ムヒョ」
ペイジの授業を受けるべく、教室を移動していれば、その途中で…。
ふいに、背後からそう声を掛けられた。
「あ?」
ムヒョが振り返れば、そこにはペイジの姿…。
教科書を小脇に抱え、何やらにこにこの笑顔でムヒョを見ている。
「草野君とお付き合いを始めたって?しかも、みんなの前で申し込んだとか…」
「何でテメェがんなコト知ってんダヨ…?」
付き合うことも、ロージーが好きなことも、別段隠す必要を感じては居ないムヒョだったが、それでもからかわれるのはいい気分ではない。
余計な世話焼くんじゃねぇゾと、顔を顰めれば、ふいに……。

「ダメだよ」

なんて。
にこにこの笑顔のまま、ペイジはハッキリそう言った。
「…あん?」
「許可しません」
「何をダ?」
「草野君との交際。てゆか、キミ恋愛禁止」
「………」
思わぬペイジの言葉に、ムヒョは言葉を失って…。
マジマジと師匠の顔を見つめ、理由が語られるのを待つ。
だが、ペイジは特に言葉を続ける気はないようだった。
そのまま何事もなく横を素通りしていこうとするのに、ムヒョは焦ってしまう。
「おい、ジジイちょっと待て!何だってイキナリんな事言われなきゃなんねーんダ!」
「不服?」
「ったりめーダロ!」
「だってムヒョ、キミは執行人にならなきゃいけないんだよ?」
さも当然のことのように言われ、ますます混乱して…。
「ああ、だから?」
問えば、ペイジは肩を竦め、また当然と言わんばかりに訳を話す。
「恋に浮かれて、勉強や訓練に身が入らなくなったら困るでしょ?」
「………浮かれてねェだろ、別に…」
「既にオ−ラがピンク色だよ」
そう言って、ペイジはマジッとムヒョを見つめた。
そのいつになく真剣な眼差しに、冗談を言っているのではないと感じて…。
「……アイツに…何かする気か…?」
心配になって聞いてみれば、
「それは君次第ってことで」
この何処かとぼけたような師匠は、ひょいと肩を竦めてみせた。

「ま、そーゆーことだから、今日も頑張ろうか♪」

そして、ポンッと…。
すれ違いざまに肩を叩かれて…。
何やら妙に楽しそうなペイジに、ムヒョは思い切り顔を顰めて見せた。



+   +   +   +   +



夕食後。
ロージーは誘われるまま、ムヒョの部屋を訪れた。

「ムヒョ先輩…ずっと一人でここ使ってるんですか?」

朝も気になったことを尋ねてみれば、ムヒョは少しだけ顔を顰めて…。
「先輩も敬語もいらねェっつったろ?」
「…でも…、そんな急には無理ですよぉ」
「そんなもんか?」
「段々、馴れていきますから、ね?」
ニコッと笑われ、思わず頷くムヒョ。
どうもこの、ニコッという笑顔には弱い。
「……先月までは同室のヤツがいたんだがナ。休学するってんで、引き払ったんダ」
「ふぅん…じゃあ、寂しいですねぇ…」

…いや、オレとしちゃ都合がいいと思うがナ…。

一瞬言葉に詰まったムヒョの、その僅かな沈黙を何と取ったのか…。
ロージーは慌てたように口元を押さえた。
「あ、ムヒョ先輩は寂しいなんて思わないですよね!ボクってば、何言ってるんだろ…」
エヘヘなんて誤魔化すように笑うのさえ、何やら眩しく見える。
いくら見ても見飽きない、コロコロと変わる表情…。
側にいれば何やら胸がざわめいて…。
何となく、昼間ペイジに言われたことを思い出す。

オーラがピンク…か…。

「…オメェ、誰かに何かされたら言え」
そう言いながら、ムヒョは手を伸ばすと、そっとロージーの髪に触れた。
何となく、触れたくなったのだ。
ロージーは一瞬だけ身を竦めたが、それでも、特に嫌がることなく…。
ただ、不思議そうな顔をするだけで…。
「ペイジでも他の教師でも…生徒でも…」
「え?先生に…ですか?えと、何かって何を…?」
「まだ分からん」
「???」
ぱちくりと瞬きする大きな瞳。
長い睫毛が頬に降りたり上がったりするのを見つめて…。
「何かおかしな事があったら、何でもいい。絶対に言え」
「はあ…」
怪訝そうな顔をするロージーに小さく笑って…ムヒョは今度は薔薇色の頬に触れた。
そして、そのまま顔を近づけ、軽く口付ける。
「…っ!」
ぎょっとして、そのまま固まったロージー。
大きく見開いた瞳で自分を凝視しているのに、ムヒョはヒッヒと笑った。

成る程、確かにペイジがクギ刺すのも分かるナ……。
オレは今、相当浮かれてる…。

「あ、あああ、あのっ、い、いま、今のは…」
「キス…初めてか?」
聞けば、ボンと音がしそうな程の勢いで真っ赤に染まるロージー。
「き、キス…ですよね…、きす…やっぱり…」
「オレも、初めてダ」
「え、え?そうなんですか?」
「誰かに触りたいなんて思うのもナ」
新発見ダ、なんて言って笑うムヒョに、ロージーはまた目を丸くして…。
「さ、触りたい…って…」
ますます紅くなって俯く。
「イヤか?気持ち悪ぃか?」
「そ、そんなことは…ない…です…けど…」
段々と小さくなる声。
ムヒョはその回答に満足し、俯いたままのロージーをぎゅうっと抱きしめた。
柔らかな身体からふわりんと昇る、何やら不思議といい匂い。
続けて唇を落とそうとすれば、
「ちょ…っ、ちょちょっ、ムヒョ先輩っ!ちょっと待って下さいぃっ!」
ロージーが慌てたように制止の声をあげた。
「あ?何ダ?」
「あのっ、ボク達まだ、おつきあい一日目ですっ!」
「だから?」
「だ、だから、その、あの、まだ…早いと思いますっ!」
「何がダ?」
「えっ?!ええっと、あの、その……だから、き、き…キス…とか…、抱きしめたりとか…、それからそのぉ…あのぅ……」
この流れで行くと、次はこのまま押し倒されると気付いたのだろう。
しどろもどろになりながら、懸命に説明するロージー。

早い…か?

ロージーの言葉に、ムヒョは一瞬考えてしまう。
そもそも、今まで恋愛なんて物に興味はなかったから、他のみんながどうしてるなんて、そんなことは全く知らない。
ムヒョが従うのは自分の本能なのだ。
ムヒョの本能は今、ロージーにもっともっと触れてみたいと言っている。
だが、恋愛は一人で出来るものではないと、ヨイチからそんな忠告をされたことも思い出したので…。
「…なら、オメェはどのくらいが妥当だと思うんダ?」
ひとまずロージーを離し、そう聞いてやることにした。
「ど…、どのくらいって…、妥当とか…そんなこと言われても…、だって…」
「大体、早い遅いってのは何処の何奴が決めた事ダ?それには相場があんのか?」
「え…、ええっと…わかりません…けど、やっぱり、今日の今日は絶対早いと思います!」
キッパリと言い切られ、ムヒョはフーンと呻る。
「じゃあ、明日ならいいのか?」
「あ、明日…って……明日?」
ムヒョの発言に、ロージーは思わずマジマジとその顔を見つめてしまって…。
正面からぶつかる深青と明るい茶色の瞳。
ムヒョはふざけて言っているようには見えない。
至って真剣そのものだ。

「……六氷先輩…、ボクのこと…どう思ってるんですか?」

ふいにそう聞かれ、今度はムヒョが虚を突かれて瞬きをする。
「あ?」
「か…、身体が目当てなんですか?」
言いながら、かああっと紅く染まる頬。
「は?おい、何ダそりゃ…」
ムヒョを映している瞳が、ジワジワと涙に浸食されて行く。
「おい…、泣くナ…」
「だ、だって…っ、むひょ先輩ってば…、イキナリキスするし…っ、ボク、こんなの、初めてなのに…っ」
ぼろぼろぼろと、勢いよく溢れ出す涙。
どうやら、自分はえらい失敗をしてしまったらしいと気付き、ムヒョは困ったように顔を顰めた。

「…イキナリはダメだったのか?なら…、正しい手順を言ってみろ。やり直してやる」

「た、正しい手順…って…!酷いです…!ムヒョ先輩、ボクのことからかってるんですね…っ」
やっぱり遊びだったんだ!なんて、うわぁんと泣き出され、ムヒョはオロオロしてしまって…。
困り果てて、とにかくぎゅうっと抱きしめた。
「からかってねェし、遊びでもねェ!だから、泣くナ」
子どもをあやすようにぽんぽんと背中を優しく叩いたり、頭を撫でたりしてみる。
優しいリズムと優しい仕草。
それに少しだけ落ち着いたのか…。
「ほんと、に…?ボク…っ、ボクは…ムヒョ先輩が、好きです…っ。ムヒョ、せんぱい、は?」
ひっくひっくと大きくしゃくり上げながら、ロージーは尋ねた。
泣きべそのその顔はあまりにもあまりにも可愛らしい。
「…決まってんダロ?」
赤く染まったその鼻先に、ムヒョはちゅっと口付けを落とす。
好きだと言われて嬉しかった。
だから、ムズムズするような気持ちに後押しされて、
「好きダ」
ムヒョはそう告げる。
「ムヒョ…先輩ぃ〜〜〜っ、ふぇええ〜〜〜ん!!!」
ぎゅううっとしがみついて泣くロージー。
力が抜け、僅かばかりの抵抗がなくなった為、より密着する身体…。
ああ、とムヒョは思った。

ロージーを抱きしめたり触ったりするのは気持ちがいい。
だが同じくらい、ロージーに抱きつかれたり、触られたりするのも、気持ちがいい。
成る程、恋愛は一人では出来ない…それはきっとこういうことなのだと…理解して……。

好きでも急ぎ過ぎはダメなのか……。
…面倒臭ェ気もするが……仕方ねぇナ……。

泣いているロージーの頭をよしよしと撫でてやりながら、ムヒョは少しだけ反省して、溜め息を付いた。




+  続く  +  3を読む  +



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

書いてあったのに、アプするのを忘れていたこの話……orz
ようやくのお目見えとなりました。
六氷先輩、大分浮かれてらっしゃいます。

てか、ここ最近、前ジャンル二つのSSのアクセス数がものすごく…。
僅か10日でかるーく魔法律を抜き去ってくれました……。
置いてあるSSの数が違うので、仕方ないっちゃ仕方ないんですが、それでも現ジャンルが抜かれるなんざ不甲斐ない…不甲斐ないよあたし…orz と反省気分です。
そんなわけで、夏コミ修羅場に入るまで、こまめな更新を心がけたいと思います〜☆


そして。。。
リンク切れ…修正…されてないですね〜;;;;
えええ??おかしいなぁ〜?とか、かなり混乱なのですが;
ああもうこの人ホントに抜けてるんだから!とゆことで、大目に見てやって下さい〜(こら)

 2007/06/27(水)/16:43:05  No.57



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