【神様にお願い 2☆】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)リンク切れ修正致しました〜!ご不便お掛けしましたorz(5/23 am9:20)
神様にお願い 2☆ ・1  
1.






むかしむかし…あるところに、人間と恋に落ちた龍の神様がおりました。


二人は互いに愛し合い、それはそれは幸せに暮らしていました。

ですが、神や魔の者達とは違い、人の命は短いもの…。
人間は転生を捨てて永遠に龍の側にいることを望みましたが、人間が死んだ時、龍はその魂を留めることはせず、天に帰しました。

またいづれ、生まれ変わり、巡り会う。
その時を待つ。
何年でも、何度でも、と…。

そう誓って……。


実際に、何度も…何度も…。


ロージーの魂が地上に現れ、また天に帰る…その輪廻を、いくつも共に過ごしました。


幾百年の時は瞬く間に過ぎ、初めての出会いから千と百も過ぎた頃……。



再び、ロージーの魂はこの世に生まれて………。



そして、十七年ばかり…。






龍神の住処であるその池の畔に、3つの人影があった。
二つは頭に角のある鬼、一つは子どもの姿をした龍神…。

「ねえ、何で会いに行かないのさ?」

白い鬼が不服そうな顔で、子どもに尋ねる。
「だよなぁ、とっくに生まれ変わってるって知ってんだろ?」
その横から同意して、更に質問を重ねる青い鬼。
「ねえ、絶対おかしいよね、ヨイチ?」
白い鬼は青い鬼を見てそう言った。
「ああ、オレも最近のムヒョはおかしいと思うぜ、エンチュー」
青い鬼は龍を見て、それから白い鬼を見て頷く。

「…ウルセェな。昼寝の邪魔だゾ、オメェら…」

ムヒョと呼ばれた龍神は不機嫌にそう呟くと、ゴロンと寝返りを打った。
周囲に咲く白い花がフワリと揺れて…甘い香りが宙に浮く。
「だって、折角ロージーが生まれ変わったのに…!」
「人間はすぐ死ぬんだぞ!分かってんだろ?」
「ウルセェ」
「もうまたウルセェとかゆって!ずっと待ってたんじゃない。どうしちゃったの?」
「おかしいぞ、お前!一年とか、一日とか、すっげー貴重なのに、何やってんだよ!」
「ウルセェっつってんだろ!暇な鬼共め!誰に向かって口きいてやがんダ!」
頭の上でやいのやいのと騒ぐ鬼達に、ムヒョは身を起こすとそう声を張り上げた。
途端、にわかに空模様が荒れ始めて…。
入道雲のぷかぷか浮いていた青い空は、突如現れた暗雲に覆われてしまう。
「ちょ、ちょっと、ムヒョ!何もそこまで怒らなくたって…!」
「何だよ、機嫌悪ぃなぁ…!勝手に天気変えんなよ!」
ゴロゴロと低く呻りだした空を見上げ、慌てる二人の鬼。
そんな二人の横…。
「フン…」
降り出した強い雨の中で、ムヒョはその姿を龍に変え…そしてそのまま天へと駆け昇って………。

「……全くもー…!」
「何なんだよなぁ?」

残された鬼達は、怪訝な顔を見合わせた。



+   +   +   +   +



「…ネコ……飼いたい、とか…」

「は?何だよ、いきなり?」
突然ぽつりと呟いたロージーに、隣を歩いていたケンジは怪訝な顔をして…。
マジマジと、遙か上にある顔を見上げた。
「んー、何かね…最近の夢がね…」
「ネコ飼う夢見たのか?何だそれ」
きょとんとするケンジに、ロージーは曖昧な笑みを浮かべる。

ネコを飼う夢…じゃあ、ないんだけどね……。
てゆか、ネコだって出てこないし…。

出てくるのは一人の少年だ。
ケンジよりも小さいくらいの背格好。
黒髪に、強い光を帯びた青い瞳が印象的で……そう、その青い瞳が、どことなくネコのようなのだ。

不思議な子なんだよな…。
知ってる子だと思うんだけど……。
いつ会ったのか、見たのか…ちっとも思い出せない。

「おい、もやし!聞いてんのかよ?」
夢に出てきた子どもに思いを馳せていれば、ふいにケンジに強く呼ばれる。
「へ?あ、ごめん、何か言った?」
ハッとして見ると、ケンジが明らかにむっとしたような顔で唇を尖らせた。
「ちぇ、最近何かおかしいぞ、お前。いっつもぼやっとして……」
「あはは、ごめんね。それで?」
「ったく。だから〜、今日ウチに来いよって言ったの!」
どうせ暇なんだろ?なんて…。
小学生にそんなことを言われる高校生もどんなもんだろうと、ちょっと思いながら…。
「ん〜、ごめん…。今日はちょっと…」
ロージーは苦笑して誘いを断る。
「えー、何だよ?忙しいのかよ?」
「う、うん、ちょっとね…。また今度、遊んでね?」
「ちぇ〜、折角、新しいゲームやらしてやろうと思ったのにな…」
ぶつくさ言うケンジは、どことなく傷ついた風で…、ロージーは少し胸が痛んだ。
「また今度、ね?」
言いながら、同じマンションへと入る。
ロージーとケンジは同じマンションの同じ階に住んでいるのだ。
「今度な。絶対だぞ!」
「うん、じゃあね、ケンジ」
「おう!またな!」

ごめんね、ホントは忙しくなんかないんだけど…。

廊下を駆けて行くケンジの後ろ姿を見送って、ロージーはフウッとため息を付いた。
カバンを探り、家の鍵を出す。
最近、変な夢ばかり見るせいで、あまりちゃんと眠れていないのだ。
だから、どうにも調子が悪い。
とてもゲームをやって遊ぶような気持ちにはなれなくて……。
やれやれなんて思いながら、鍵を開けて家の中へと入る。
この時間はいつも家人は居ない。
一人だと分かっているが、それでも小さく「ただいま」と告げて…。
玄関脇の自室に入り、ベッドに身を投げると、ハーッと深く息が漏れた。

目を瞑れば、瞼の裏に広がる不思議な光景…。

それは、初め水の中のようで…。
ユラユラとして、定かではなくて…。
やがて、暗くて静かで…それでいてほんのりと明るい、そんな神秘的な所に着く。

そして、更にその先に、例の子どもが居るのだ。

黒髪に、青い瞳の…着物を着た子ども。
そして、その瞳はいつもロージーを真っ直ぐに映しているから…。
どうにも気になって仕方がない。

せめて…名前が分かればな………。

心の中でそう呟く。
ロージーはその子を知っている筈なのだ。
名前を思い出せれば、何かもっといろいろなことを思い出せそうな気がした。

「……なまえ……何だっけ…」

知っている筈の名前。
呼んでいた筈の名前。

なのに、どうして思い出せないのだろう?

いつも感じるもどかしさと悲しさ。
何かとても大切なモノを忘れている気がして……。

「………誰なの…?」

キミは誰なの?と面影に問えば、ほのかな明かりの中…彼は顔を顰めて笑った。


ああ…、やっぱり…知ってる………。


遠のく意識。
眠りに落ちるロージーの耳に、遠くで響く雷の音が聞こえた気がした。



+  2を読む  +


+   +   +   +   +


とゆことで。
神様にお願いの続編でございます。
エセ平安調だった前回ですが、今回は現代が舞台。
龍神のムヒョさんは、ロージーの最後の願いを叶えてあげなかったとゆことで。
もう既に何度か転生を繰り返し、巡り会ってまた分かれて…を繰り返したムヒョロジなのです。
前回は帝だったケンジ、今回はご近所さんで登場です。
鬼コンビはそのまま。

また暫く続きそうな話ですが、どうぞ読んでやって下さいませ☆
 2007/07/22(日)/02:59:59  No.61



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