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10.
「あー…それで?どうするのじゃ?」
勝手に盛り上がっている二人に、イサビが困ったような迷惑そうな、それでももう諦めたような顔で尋ねる。 「ヒッヒ。野暮だナ、オメェも…」 とっとと消えロなんて、シッシと手を振られて…。 イサビは肩を竦め、溜め息を落とした。 「やれやれ、面白くないのう…。まあ、この場はその人間の想いに免じて退いてやるが……」 ロージーが少しだけ申し訳なさそうに、それでも嬉しそうに微笑んで頭を下げる。 幸せに輝いた花のようなその笑顔は、けれどもすぐにムヒョへと向けられて…。 「…儂も本気で嫁を探すことにするか…」 イサビはかなり本気で呟くと、その場を後にした。
「ムヒョ……」 「フン…ここならいいナ…」 ぎゅうと抱きついたままのロージーが、ねだるような誘うような瞳で見つめるのに、ムヒョはヒッヒと笑ってキスをした。 「え…?何が?」 「結界ダ。理性ってヤツが飛ぶと力が制御しきれなくなるからナ…」 世界に影響が出ちまうんダ、と。 言いながら、ちゅ…なんて、首筋に落とされる唇。 「あ…、だから…」 「あ?」 「ううん。その…ね、我慢…させちゃったんだなって……」
ここ暫くの間…夢で会うムヒョは、いつもキス以上のことをしようとしなかった…。
それを何でかと、ロージーは気にしていたのだ。
神様ってゆーのも、案外大変なんだな…なんて思いながら、ゴメンねと言えば、 「フン、分かってんなら話が早ぇ」 その身を差し出せと耳元に囁かれ、ポッと頬を染める。 「………喜んで…」 「お?いい答えダナ♪」 満足そうに笑うムヒョに、ロージーもまた、はにかんだような笑みを浮かべた。 ドサッと倒れ込む、二人の身体。 貪るようにキスを交わし、間近で見つめ合って…。 体内に生まれた明確な欲望を熱として感じる。
変な感じ……この身体は…知らないことの筈なのにね……。
何か…少し恥ずかしいような、それでいて嬉しいような…そんな気分でウズウズする。 フフッと笑えば、ムヒョはもう一度キスをして…それから首筋へと唇を降ろしていった。 「…ねえ、どうして……連れて行ってくれないの?いつもみたいに…」 んん…と、僅かに身を捩りながら尋ねるロージー。 「あ?そりゃ……まあ…何となく、ダ」 「え〜、何となく、なの?」 不満そうなロージーに、ムヒョは苦笑する。
「……ま、強いて言うなら……オメェが生きてる世界を見たくなったってトコか…」
ちゅっと胸元にキスを落とせば、ロージーは小さく身を竦めて…。 「ふぅん…?」 納得したような、しないような声を上げた。
そろそろ、解放してやるべきではないか、と………。
本当は、そんなことを思っていた…なんて、どうにも言いにくい。 ムヒョは困ったように顔を顰め、ヒッヒと笑ってみせる。
繰り返し、繰り返し…本当に長い時………。 ムヒョはいつも、ロージーの人としての生活を、その人生を奪ってきたから…。
ロージーが本当にそれを望んでいるのかどうかが…もう分からなくなっていた。
だが、さっき…ロージーがイサビに望んだことは……一番初めの時と同じだったから…。
『ボクはムヒョの側にいたいんです。死んでも、魂だけになっても…ずっと…離れたくない……』
ロージーの言った言葉を思い出し、フッと笑みがこぼれる。 千と百もの時を得て、尚も変わらぬこの気持ち…。 それが二人同じだというのだから…、本当に何とすごい巡り合わせであったかと……。
「…ねえ、ムヒョ…。お願い…聞いてくれる……?」
ムヒョの手と唇に欲望を煽られ、喘ぎながらロージーが言った。 「…何ダ?」 「あのね、必ず迎えに来て欲しいの。絶対に…。ボクが生まれ変わる…その度に……」 「……ずっとそうして来たダロ?」 ロージーの言葉に、ムヒョは身体の下からでは遠い顔を訝しげに見やる。 「うん、だから…この先もずっと、をお願いしてるんだよ」 にこ、と…赤く染まった顔が笑う。 「…………」
何度か…もう全てを終わらせてしまえば…と、思ったこともあった。
ロージーを失う度、その時が辛くて……。 このまま、ロージーの転生を止め、自らの命も絶ってしまおうか……と。 だが、それすら出来ぬ程、ムヒョはロージーを愛していたから……。
「…まあ…三度目の願いは…ちゃんと叶えてやってねェからナ……」
ムヒョは困ったように笑って…。 「仕方ねェ。その願い叶えてやる」 そして、一番近い太股の内側へ、ちゅっと口付けた。 「ぁ…っ」 ビクッと震えが走るのに、ヒッヒと笑って…。 濡らした指先を、未だ受け入れることを知らぬ入り口へと押し込む。 このロージーの身体は、まだ真っ新だ。 記憶は全て甦っても、身体は何も知らない。 それでも…記憶の影響は少なからず身体を変化させるから…。 「は…、ぁあ…っ」 ゆるゆると潜るその指に、ロージーは痛みではない反応を返す。 幾度となく繰り返し与えられた快楽のイメージが、苦痛ではないものをロージーに感じさせているのだ。 困ったようにモジモジしているのが可笑しくて、ムヒョはヒッヒと笑った。 「焦んナ」 「ん…、だ…って…、何か…ボク……」 「まだ無理ダ」 もっと欲しいと言っているその声に、苦笑しながら否定を口にする。 「…だ、だって…、むひょとひと…つ…っ…ああんっ!」 余り可愛いことを言われるとこちらの身が保たないと、ムヒョはロージーの言葉を遮るように、緩く勃ち上がっているソレに指を絡めた。 「ふぁっ、ぁあっ!」 軽く擦り立ててやれば、限界の近さに慌ててか、ロージーがイヤイヤと頭を振る。 「む、ムヒョ…、や…っ、だ…め…っ」 「安心しロ、まだイかせやしねェ」 ヒッヒと笑いながらハッキリそう言うムヒョ。 屹立したモノからするりと指を離し、けれど、かき混ぜている方は指を増やして…。 絶頂の手前まで煽られた快楽に感覚全てが引きずられているのだろう。 まだ十分解れてはいない筈なのに、ロージーは身をくねらせた。 「は…ぅ…、んん…っ、ムヒョォ…」 「ダメだ」 何処をどうすればどう感じるのか…。 互いが知り尽くしているからこそ、つい錯覚してしまいそうになるが、今目の前にいるロージーの身体は、この行為を未経験なのだ。 この行為は受ける側にかなりの負担を強いる。 それを知っているから、どうしても、ムヒョは無理をする気にはなれなくて…。 「ん…、むひょ…欲しい…よ…」 「まだやらねェ」 「…いじわる…」 「……仕方ねぇナ…」 3本目の指を入れても、ロージーの顔に苦痛の色が浮かばないのを確認してから、ムヒョはようやく指を抜き出した。 「あ……っ」 ピタリと、入り口に押し当てられたムヒョの憤り…。 その熱さに、ゾク…と背筋を震えが走る。 「あ…あ…ぁあ…ぅ…ん…ん…」 ゆっくりと埋め込まれ、途中でゆるゆると動かれて…。 指とは比べモノにならぬその質量に、流石に苦しげな息をつくロージー。 「…平気か?」 「ん…、うれし…い……っ」 ムヒョが自分の中をいっぱいにして奥へ入ってくる。 誰より愛している人だからこそ、身も心も満たされるこの時が幸せで…。 その幸せをまた感じられたことが嬉しい。 「だいすき…むひょ…」 涙が溢れて…。 思いが溢れて…。
「ボクね…、誰よりも…何よりも……世界中…ぜんぶの中で、一番…ムヒョが好きだよ……」
ずっとずっと愛されてきた記憶も溢れて…。 「ああ、そうじゃなきゃ許さねぇ。オレも…そうだからナ…」 千と百年、変わらぬ思いを告げられ、ムヒョはヒッヒと笑った。
共にいられる…この時の為だけに生きている。
転生を待つ間の方がずっとずっと長くとも……。
それでも、また会えるから……また愛して愛される……そう思えるから……。
何度でも、何年でも……そう、永遠に…。
+ END + 9を読む +
+++++++++++++++
わ〜〜〜、とゆことで、ホントにホントに長らく間があいてしまいましたが;;;;;;
神様にお願い2☆は、これにて完結なのです〜!!!
ここまでおつきあい下さいました方、どうもありがとうございました!!!!! いや、まさか年をまたぐとか思いませんでした…orzorz (てゆか、前回11月とかって……あり得ない…ホントあり得ないよね……;;;;) 楽しみにして下さってた方や、この話が好きですと言って下さった方が、楽しんで下さったらいいなぁと思いますが。。。 うんもう、ここまで間空くと、何が何やら…な感じが……ね…;;;;
もしかすると、後日談を1つか2つ書くかもですが。 その時はまた、お付き合い頂ければ嬉しいです。はい。
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2008/03/23(日)/03:54:11
No.77
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