【神様にお願い2☆ 9】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)
神様にお願い2☆ 9  
9.





溢れ出した記憶。
遡る年月。

初めの初め、一番最初…池の畔の出会いから、百年前の別れまで…。

気の遠くなりそうな程の記憶と想いが、ロージーの意識を飲み込む。

出会いの時の不安と戸惑い。
恋した時のほのかなときめき。
愛して…愛される幸せ。

そして、一度たりとも望んだことのない別離……。

繰り返した、愛と別れを垣間見て……。



「む?どうした?腹でも痛むか?」

突如、ロージーの双眸から溢れ出した涙に、イサビがぎょっとして尋ねる。
「…………っ」
ふるると振られる頭。
「では、何だ?」
「……むひょ…っ…」
「ん?龍神が何じゃ?どうしたというのだ?」
尋ねれば、見る間にくしゃくしゃになる顔。

「……ボクの、最後のお願い…聞いてくれなかった……」

ロージーはそう呟くと、顔を覆って泣き出した。
「願い?ああ、これ、何じゃ…泣くでない泣くでない」
ひどいよ、なんて…自分とは関係のないことで泣かれ、困ってしまうイサビ。
思わずオロオロと慰めたり、あやしたり…。
「だって、ボク、お願いしたのに…っ、ちゃんと…お願いしたのに…っ」
「うむうむ、そうだのう、龍神が悪いのじゃな」
「…むひょ…、かなえるってゆった…のに…っ」
「ああ、ほれ、落ち着け…、そのように泣いて話すは苦しかろう。な、せめてどちらかに…」
「だ…って…、だって…っ」
「ああ、全く…困ったのぉ…」
泣きやむ気配を見せないロージーに、ホントの本気で困り果てた様子のイサビが、そう呟いた時……。


バリーン!!!


突然、甲高い音を立てて、この不思議空間の天井が砕けた。
「なっ?!」
「?」
バラバラと降り注ぐ薄桃とオレンジの欠片。
何事かと見上げれば、二人の目に飛び込んできたのは青銀の鱗を持つ龍で…。
龍は稲光と共に真っ直ぐ地面に降り立つと、着地と同時にその姿を龍から人へと変えた。


そう…いつもの、あの子どもの姿に…。
「むひょ…!」
悲しみに暮れていたロージーは、複雑な気持ちでムヒョを見つめる。
「…テメェ……!」
一方、ムヒョはロージーの涙を見ると、殺気立った瞳でギロリとイサビを睨んだ。
イサビは軽く肩を竦める。
「泣かせたのは儂ではないぞ」
「この期に及んで言い逃れ出来ると思ってんのか?」
「言い逃れなどせん!これは主のせいじゃからな!主が人間如きの願いを叶えてやらぬから悪いのであろう」
「あ?何言ってやがる。ソイツを拉致してどうする気だったんダ?」
怒りの余りか、ムヒョの身体のあちこちで、パチパチと小さな稲妻がはぜる。
イサビはそれに面白くなさそうな顔をすると、ロージーの顔を覗き込んだ。

「のう?アホ龍神の叶えられぬ願い、この儂が代わりに叶えてやってもよいぞ?」

「………イサビさんが…?」
グスと鼻を啜りながらイサビを見上げるロージー。
「な…っ?!イサビ、テメェ何勝手なこと…!」
焦りか、苛立ちか…ともかく声を上げたムヒョをチラリとだけ見て…。

「…本当に?」

ロージーはイサビに確認した。
イサビはうむと大仰に頷いてみせる。
「ロージー?」
訝しげなムヒョの声に向けられる、悲しげな視線。
「…ムヒョは……聞いてくれなかった…。ボク、ずっと側にいたいって言ったのに………。死んじゃっても…側に置いてってお願いして…。叶えてくれるって言ったのに………なのに…」
「何じゃと?」
ロージーの言葉に驚き、大きく目を見張るイサビ。
まさか、そんな願いだとは思いもしなかったのだ。

「ボクはムヒョの側にいたいんです。死んで…魂だけになっても…ずっと……」

ロージーは真っ直ぐにイサビを見つめてそう言った。
「ロージー…オメェ……思い出したのか?」
イサビと同様、驚愕の表情を浮かべたムヒョが、やっとの思いで尋ねる。
「思い出したよ、全部……」
苦しげに眉根を寄せたロージーの顔は、怒っているようにも、悲しんでいるようにも見えて……。
「ねえ、ボクは永遠にムヒョのもの…って、言ってくれたよね?願いを叶えてやるって…」
ムヒョを責めているようなその言葉。
一度は止まった涙が、またボロボロと溢れ出す。
「………」
「なのに、何で…何度も……っ」
ヒックとしゃくり上げ、苦しげに泣いているロージーに、ムヒョはどう想いを伝えていいのか分からなかった。
「……オレは……」
言いかけてやめ、視線を落とせば…。
フワリと気配が動いて…。
「?!」
次の瞬間には、ムヒョはロージーに抱き締められていた。
「何で…、そんな辛いこと…繰り返すの?何度も、何度も…ボクが死んで、また生まれるの待って……。待ってる間、ムヒョは一人で……ボクは何にも知らなくて……次に会った時には忘れちゃってて……」
ロージーは複雑に絡み合った感情をどうすることも出来ず、ただ、思うままに訴える。
「ロージー?」
「人の一生なんて短いのに…、一緒にいられる時間なんてホントに僅かで……なのに、何で…?待ってる時間のがずっと長いのに…!何で……?」
「…ロージー…」
「……そんなの、ムヒョが辛いだけじゃないか…」

愛されていることを知っている。
深く強く、いつの時もずっと変わらずに愛されてきたことを…。

だから、ムヒョが意地悪で願いを叶えてくれなかったなんて思わない。

自分を愛していないからなんて思わない。

むしろ、きっと自分をとても愛してくれているからのことだと、分かるから……。
余計に、辛くて…悲しくて……。

「…オレは…オメェが……コロコロ変わるのが好きダ…」

やがて、ムヒョがポツリと言った。
「人間は…いや、これはオレ等もそうだが…、生きてねェと成長ってモンがねェ。死んじまったその時点で、何もかもが止まるんダ。経験も、思いも…感情も……」
「……?」
「魂も…永遠じゃねェ」
困ったような笑顔でロージーの涙を拭って…。
「輪廻を外れて淀んだ魂は…いずれ消滅しちまう」
「え…」

「それがずっと先の話であっても……オメェが消滅するくれェなら…転生を待つくれぇ……」

何てこともねぇんダなんて…。
若干、視線を外しながら…。
「ムヒョ…!」
ムヒョの言葉に、ロージーはぎゅうっと抱き締める腕に力を込めた。




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…何か、書いててちょっとワケが分からなくなったりしてるんですが…;;;(えええ)
読んで下さってる方はもっとワケが分からないんじゃないだろうかorzorzorz
大丈夫なのかな…。

以前、とても尊敬しているサークルさんから、
『パラレルや女装は、書き手に読ませる勢いがないとダメなんですよ』
と言われたことがあるのですが…。

大丈夫か…?コレ大丈夫なのか???
ちょっとどきどき中…・・・。

つか、イサビ…忘れられてる…!(笑)
 2007/11/22(木)/17:00:35  No.75



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