【恋は嵐。その9】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)
恋は嵐。 その9  
9.





カバンは残されていた。

ロージーの教室のロージーの机の上に。

読みかけの本も机の上に置かれて…。

下駄箱には靴がそのまま……。


なのに、ロージーの姿だけが見あたらない。




「先に帰ったんじゃないの?」
「靴履き替えねェでか?」
エンチューの言葉に、ムヒョは思い切り不機嫌な顔で答えた。
「ロージー君、ドジッ子な感じだし…あり得なくないんじゃない?」
結構酷いことをサラリと言う親友に、確かにドジは否定しないが…なんて思ってしまいながら。
「カバンも忘れてか?」
「…うーん…、じゃあ、トイレとか?」
「それならもう戻って来てんダロ」
「んー…そうだねぇ…。じゃあ…食堂とかは?」
「………」
それならば、メモくらい残していくと思うのだ。
そう、ロージーの妙に律儀な性格をムヒョは解っている。
そして、だからこそ、約束をすっぽかして勝手に帰ってしまうなどというのは、考えられないことなのだ。

「じゃ、事件に巻き込まれた…とか?」

「………」
エンチューの不穏な発言に、ムヒョは顔を顰めた。
教室内は整然としている。
争ったような形跡なんかはまるでない。
誰かに呼ばれ、学園内の他の場所にいるだけかもしれない。

そう、例えば…職員室あたり……。

「…何か用スか?先輩達…」

ムヒョがジッと考えを巡らせていると、背後から声がかけられた。
振り返れば、そこにいたのはこのクラスの委員長を務めるギンジで…。
「あれ…?六氷先輩…?」
ギンジはムヒョの顔を見ると、怪訝そうに眉を顰めた。
「君…このクラスの子だよね?ロージー君、何処行ったか知らない?」
エンチューがとりあえずそう尋ねる。
「え…?ええと…?草野って…、だって…さっき…六氷先輩と向こうに………」
「え?ムヒョと?」
ぎょっとするエンチューに、ギンジは大きな瞳をしばたかせながら頷いた。
「どっちだと?」
「へ?」
「ロージーとオレを何処で見たんだ?」
「あ、あっちっす!」
ズイと詰め寄られ、ギンジはやや身を引きながら今歩いてきた方向を指さした。
「渡り廊下の手前で会って…。多分、旧校舎の方に行ったと………」
「………」
ギンジの答えを聞きながら、無言で歩き出すムヒョ。
「何か…あったんすか?」
そのただならぬ雰囲気に、ギンジも眉を顰めて…。
「うん、ちょっとね…。ありがとう、ギンジ君」
だが、エンチューは言葉を濁すと、ムヒョの後を追った。





「ねえ、どういうコトだと思う?」
急ぎ足で廊下を歩きながら、エンチューが聞く。
「………」
「ムヒョの姿をしてるのって何だろう?何かが化けてるのかな?」
「…さあナ…」
旧校舎が近付いても、イヤな空気を感じることはなかった。
ムヒョもエンチューも、霊気を探る能力に長けている。
だから、ロージーと共にこの廊下を通った何モノかが、悪霊であればすぐに分かるはずだが…。
今のところ、周囲に不穏な気配はなく…。
「…ムヒョ、心当たりがあるんじゃない?」
「………」
ナイ事もないと、ムヒョは思った。
そんな気持ちが顔に出ていたのか…エンチューは深いため息を付く。
「もー、ムヒョってばこんなに恨まれるって誰に何したの?」
「知るか!それに…恨みじゃねェ…。多分」
「…多分?」
訝しげなエンチューの視線を感じながら、ムヒョはそれきり口を閉ざして、ただ、向かう前を見つめた。

思い出すのはペイジの言葉。

そう。
ロージーに告白してすぐ、ペイジから『恋愛禁止』だと、そう言われていたことを…。

『だってムヒョ、キミは執行人にならなきゃいけないんだよ?』

ペイジに、そう言われたのだ。

『恋に浮かれて、勉強や訓練に身が入らなくなったら困るでしょ?』

だからダメだと。

執行人の育成は、何時の時代でも協会にとっての最優先事項だ。
執行人なくして魔法律協会は成り立たない。
だからこそ、執行人に成りうるだけの素質を持つ人材の確保は、何時如何なる時でも、非常に重要なのだ。

「………」
ロージーの気配を探って旧校舎内を進みながら、ムヒョの胸の内には焦りが生じ、段々とそれは膨らんで行く。

オレは浮かれてたか?
ジジイ共の目に余る程?

『既にオ−ラがピンク色だよ』

ペイジはそうも言っていた。
あんな初めの初めからオーラがピンクに染まっていたなんて言われると、ならば今ならどう見えるというのか…なんて、気にもなって…。

あの時、何かする気かと訊ねたムヒョに、ペイジは『それは君次第ってことで』と答えている。

自分では勉強も訓練も、それまでと変わらないと思っていた。
だが、傍目から見れば変わっていたのかも知れない。
だから、ロージーが………。

………無事じゃなかったら…タダじゃおかねェ…。

焦りと怒りから、ギリ…と拳を握りしめた瞬間。


「…い…や…、やだぁああああああっ!!!」


目前に迫った旧音楽室の中から、ロージーの悲鳴が聞こえてきた。




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うを。これ…前のをアプしたの8/22だって……;;;;;;;
す、すみませ…orz

んー。
この話はあと1回で終わるつもりです。多分。
今度はもっと学校ならではの話が書きたいな、とか思いつつ。


明後日のイベントが楽しみでウキウキわくわくウズウズしております(^v^)
オンリってやっぱ特別だよね♪♪
お会い出来ます方、どうぞ構ってやって下さいませね〜!
お買い物、いっぱい出来るといいなーvv
 2007/10/12(金)/15:44:53  No.69



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