【神様にお願い☆ 11】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)
神様にお願い☆ 11  
 
 
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ムヒョはボクを好き。
ボクもムヒョが好き。

その好きは何だかとっても特別で……どきどきして…。
嬉しくて…楽しくて…。
それまでよりも、毎日もっと好きになるみたいで…。

すごく、幸せ……。






その頃、池の周りには白い水仙の花が沢山咲いて。

「いい匂いだねぇ、ムヒョ」
周囲に漂う甘い花の香を嗅ぎ、ロージーは嬉しそうに微笑んだ。
「水仙って可愛いよねぇ、いい匂いだし、ボク好きだな♪」
「そうか…、ナら、もっと咲かせてやるか?」
嬉しそうなロージーを見ると、いつだって自分も嬉しくなるから。
ムヒョは膝枕の状態でロージーを見上げ、ヒッヒと笑った。
「えっ、いいよぉ!そんな!このままで十分だよ!」
「遠慮すんナ」
ケロリと言うムヒョにブンブンと頭を振って…。
「遠慮じゃないよ、でも…ありがとう、ムヒョ…」
ロージーはニッコリと笑うと、身を屈め、ちゅっと口付けを落とす。
「…フフ♪何か…ムヒョもいい匂いだね」
「あ?オメェこそ、ダロ…」
「えー、そうかな?」
「ああ」
いつも共にいるロージーは、自分と同じ匂いがする。
そのことに満足感を覚え、笑みを深めながら…。
ムヒョは手を伸ばしてロージーの頬に触れた。
柔らかな薔薇色の頬は、けれどヒヤリと少し冷たい。
「フフ、ムヒョの手、温かいね♪」
ニコリと笑うのに、顔を顰めて…。
「…少し、冷えたか?」
「そう?寒くはないけど…」
ロージーはそう答えたが、ムヒョはスッと身を起こした。
「戻るゾ」
「え?もう?」
「冷えると良くねェって言うからナ」

人間は、自分たちとは比べ物にならぬ程、弱い…。

ムヒョはその事をよく知っているから、ロージーの体調に関しては、いつも本人以上に気を使っている。
そして、そんなムヒョの気遣いを感じているからこそ、ロージーはおとなしく従って…。
「ねえねえ、戻ったら、温かいお茶が飲みたいな♪紅いやつ♪」
「ああ、用意させる」
早く来いと手を差し伸ばすムヒョ。
その手をロージーが握ろうとした、その時……。
「あれ?」
ポウ…と、小さな光の球が昇った。
蛍の光のような、小さく不思議なその光は、ムヒョの身体からフワリと浮いて…。
「あ…?」
ムヒョがそれに気付いたときには遅かったのだ。
「わぁ…ムヒョ?何か…」
光って見えるよ?なんて…。
ロージーの見つめるその先で、光の球は数を増やし、どんどんとムヒョの身体を覆う。
「む、ムヒョ?!」
無数の光に包まれ、あっという間に姿の見えなくなってしまったムヒョに、焦りの声を上げるロージー。
本能が告げている。
不安を。
得体の知れないその光が、何か良くない物だと言うことを…。
「やだ…、何…これ?ムヒョ、平気?」
「……っ、…!」
「ムヒョ?ねえ、どうしたの?何…?今、何て…」
光の中…ムヒョの身体に触れようと手を伸ばせば、その指先に痺れのような痛みが走って、ロージーは驚きから手を引っ込めた。

ムヒョ、今…『逃げろ』って…言った…?

何これ…。
何なの?
ムヒョは一体、どうなって……こんな……。

「これはこれは…随分と油断をおしじゃないか。まさかこんなに簡単にゆくとはねぃ」

不安に戦くロージーの背後から、笑み混じりの声が聞こえてくる。
「?!」
振り返れば、そこには女性とも男性とも付かぬ美しい容姿をした人物が一人いて…。
「お前さんが『ロージー』だねぃ?」
ニィッと笑みの形に細められた紫の瞳。
艶やかな黒髪の下から覗くそれは、笑っているというのにとても冷たくて…ロージーの背をゾクリと冷たい物が走った。
「あ…あなたは…?」
「おやおや、あたしを知らないとはねぃ。ま、籠の鳥じゃぁ無理もないか…」
ヒラリと開かれた扇。
「あたしは五嶺陀羅尼丸…以後、お見知り置きを…」
顔の半分ほどを隠してクックと笑うその人物を、ロージーはただ凝視することしか出来ない。

この人物からは離れた方がいい。

初対面であるにも関わらず、何故か強くそう思う。
だが、光に包まれたままのムヒョがどうなっているのか分からないままでは、どうしていいのか分からなくて…。
「…ああ、あんまりそれに近付かない方がいいよ」
縋るようにムヒョを見たロージーに、五嶺はまたクックと笑った。
「どういうコトですか…?」
「龍神を縛る程の術だからネェ…」
パチンと扇が閉じられる。
笑う口元に見える黒子…。

龍神を縛る…術……?

「何で、そんな…っ!」
「オレらの目的はお前の生存確認…及び、奪取…」
五嶺へ注意を向けていたロージーの背後から、聞き慣れぬ第三の声が上がって…。
あっと思った時には後ろ手に縛られていた。
「な…っ?!何するんですか?!」
「その為に、邪魔だったってワケさ…」
フワリと横を移動する嗅ぎ馴れぬ香の香り…。
「コイツが、ねぃ…」
動いた五嶺を追う視線の先で、光に包まれたムヒョの身体が大きく傾く。
「やめ…っ!あぁっ、ムヒョォッ!!!」
バシャーン!!!
ロージーの悲鳴のような叫びと、盛大に上がった水音が、静かな森の中…高く響き渡った。




+  続く  +   10を読む  +




+  +  +  +  +  +  +


とゆことで、今回は少し短いですが。
五嶺様とエビちゃんなんか出て参りました。
五嶺様はベタに陰陽師であります(^-^;)
ムヒョさんアッサリ捕まってしまって、これどうよ;;;とも思うのですが…まあまあまあ。
今まで、自分を狙って来るような命知らずなヤツはいなかったってのと、ロジと一緒で気が緩んでたってことで。。。

えー。
この話もいよいよあと2回くらいで終わりな感じです。
来週の更新は、多分プランツより先に、この話の続きになると思いますが、また読んでやって頂けると嬉しいです☆
 2007/02/02(金)/14:50:15  No.45



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