【神様にお願い☆ 10】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)
神様にお願い☆ 10  
 
 
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「ねえ、ムヒョムヒョ♪」
その日、小高い丘の上で、二人並んで満月を眺めていると、ふいにロージーがはしゃいだ声を上げた。
「どうした?」
「ムヒョってお月様まで行ける?」
「あ?ああ、何回か行ったことあるゾ」
随分前の話だがナと言えば、ロージーはキラキラと瞳を輝かせる。
「すごーい!ホントに行けちゃうんだ?!ねえねえ、お月様にはウサギがいるって本当?お餅ついてた?」
「あ?ウサギ?ウサギなんざいなかったゾ?何でウサギなんだ?」
「えっ、いないの?」
きょとんとして言えば、途端にトーンダウンする声。
明らかにガッカリしたロージーに、ムヒョは何だか慌ててしまって……。
「い、いや…、オレは、見かけなかったゾ?だが、月も広いからナ!だから、オレが見なかった他の場所にはいたかもしれんゾ」
アワアワと取り繕うように…。
「あ、そっかぁ☆そうだね、この世界だってとっても広かったものね」
苦しいムヒョの言葉に、ロージーはそれでもあっさりと納得した。
しょんぼりガッカリと沈んだ顔を、すぐにまたキラキラわくわくと明るくさせて、月を仰ぐ。
「お月様…ここで見てるとそんなに大きくないけど…ホントはとっても大きいんだね」
「……月にウサギがいるって…、誰かに聞いたのか?」
「うん♪前にね、偉いお坊様がそう教えてくれたんだよ♪」
お餅を付くウサギさんなんて、可愛いよね♪と…。
無邪気な様子でニコニコ笑われ、ムヒョはそれに見とれてしまう。

オメェのがよっぽどダロ…。

「あ、ボク!ウサギ好きだよ♪白くて紅い目で耳が長くて…可愛いよね♪」
「そうだな」
ロージーの好きな物探しは、こんな風に会話の合間合間、気付いた時に続いていた。
「お月様も好きだし、夜も好き♪」
「朝も昼も好きなんだろ?」
そう言って少し呆れたように笑うムヒョに、ロージーはフフと少し意味ありげな笑みを浮かべる。
それを、何ダ?と聞く前に…。

「あのねぇ、朝も昼も夜も…ムヒョが一緒に居てくれる時が好きなんだよ」

ロージーは打ち明け話をするようにそう言った。
「………いつも…一緒じゃねェか…」
嬉しいながらも照れくさい。
コイツ、ここで喰ってやろうか…なんて思いつつ、何だかぼそぼそと言えば、
「だって、ムヒョ…たまにお出かけするから…」
ロージーは少し寂しそうな様子を見せて言う。
「…まあ、でも…だからこそ…一緒に居てくれる時が好きなんだって分かるんだけど…」

その言葉に…。
その視線に…。
その笑顔に…ドキドキする…。

明るい月明かりを浴びて、キラキラと輝いているロージー。
柔らかで優しい光が、何て似合っているのだろうと思いながら…。
「…オメェ……」
「ん?」

オレのこと、好きか?と…。

そう聞こうとして、ムヒョは言葉を飲み込んだ。
今、言うべき言葉はそれではない。
だって、ロージーの答えは分かっている。
ムヒョが「好きか?」と尋ねたら、ロージーは「好きだよ」と嬉しそうに答えるに決まっているのだから…。
「ヒッヒ…」
ムヒョは小さく笑みを漏らした。
確実に近くなっていると感じるロージーとの心の距離…。
だが、このままではこれ以上は何も変わらないのだ。

「…オレは…オメェが好きダ…」

そう、自分がまず正直に伝えなければ…。
「ムヒョ…」
月明かりを受け、いつもよりも明るく見える茶色の瞳。
それはムヒョの言葉に少し大きく瞠られて…。
驚いたように、嬉しそうに。
そして、僅かばかり目線を伏せ、顔を赤らめる。
「ボクも…キミが好きだよ……って、あのね、何か…不思議なんだけど……」
「何だ?」
「ムヒョのこと、好きっていうのは……何か、他のと違ってて……よく分からないんだけど…」
モジモジと言われたそのセリフに、ゾクリと背筋を走ったのは何の震えか…。
ムヒョは立ち上がると、やや低くなったロージーの顔を覗き込むようにして口付けた。
「んん…、ムヒョ…?」
「オレも、同じダ」
嬉しくて、何度も顔に唇を落としながら…。
言えば、本当?と、ロージーは嬉しそうに笑った。
「じゃあ、ドキドキする?」
「ああ」
「じゃあ、ボクがムヒョのこと考えると嬉しいみたいに、ムヒョもボクのこと考えると嬉しい?」
「ああ」
「じゃあ…、ずっと…、ボクをキミの側に置いてくれる?」
「最初からそのつもりダ」
「そうなの?良かった…♪」
ぎゅうっと抱き締められ、ムヒョもまた抱き締め返す。
「オメェはオレのモノだっつったロ?」
「うん♪」

愛する者に愛される喜びを噛み締めて……。

月明かりの中、二人だけ……。







「ムヒョ、何だか良くない風が吹いてるよ」

ロージーが寝てしまった後…。
ムヒョが一人で池の外に出てみれば、そこには先客が居て…。
未だ清かな月光の中、風に吹かれて佇むエンチューが、ぽつりとそう告げた。
「あ?」
顔を上げれば、その視線を遮るようにもう一人…ヨイチが姿を見せる。
「ああ、気を付けた方がいいぜ?帝がロージーを探してるって噂だ」
「探してるのは帝だけじゃないって方が問題だけどね」
「フゥン…?」

帝がロージーを探している?
探しているのは帝だけじゃない?

じいっと…探るようなムヒョの視線に、鬼の子二人は何を思うのか…何も思ってはいないのか…涼しい顔を向けている。
「今更だナ」
ヒッヒと笑って、ムヒョは肩を竦めた。
「へえ、余裕だね?」
「このオレが人間のすることなんぞいちいち気にするわけねぇダロ」
「ほー?こないだと随分違うじゃん」

ロージーは自分を愛している。

今のムヒョにはその確信がある。
だから、帝の存在など、今更きになどかける必要はない。
その余裕がありありと見えるムヒョに、エンチューとヨイチも大体の事情を察して…。
「ふーん、でも、用心に越したことはないと思うよ?」
「そうそう、早いトコ、ベッドに戻った方がいいぜ?」
今頃、目を覚まして泣いてるかも知れない、なんて。
「ウルセェ」
からかわれてムッとしつつも、ムヒョは戻ることにした。
ロージーの側に、と思えばどうしても顔が緩んでしまう。

柔らかな布団にくるまって眠るロージーの隣は、さぞ温かいだろう。

ムヒョの顔に浮かんだ何とも幸せな笑み。
そして、それをまた見逃してはくれない二人の鬼達。
「わ〜、オーラが幸せピンク色だよ〜♪ムヒョってば♪」
「おーおー、羨ましいことで♪あんまロージーちゃんに無茶させんなよ?」
やいやいと囃し立てる声に、今度は余裕の笑みだけ返して…。
ムヒョは池の中の御殿へと戻っていった。



+   続く +   9を読む  +




+  +  +  +  +  +  +


わー、すっごいおサボリしてましたね。
久しぶり過ぎて、何だか話や雰囲気がいまいちピンと来てない私ですが…;;;
大丈夫かなとか思いつつ、更新してしまいます(いいのか)

相思相愛の意思確認が取れたらしいムヒョとロジ。
このまま一気に終わらせちゃうか、ちょっと間にラブラブしたモノを書くか、とか迷いつつ。。。

また、ぼちぼちとSS更新再開していこうと思いますので、よろしければお付き合いいただけると嬉しいです〜☆
本年も、よろしくお願いいたします(^v^) ←明けて20日近くなるのに……;;;「今更だナ、ヒッヒ」だよ!
 2007/01/19(金)/16:39:15  No.43



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