【神様にお願い☆ 9】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)
神様にお願い☆ 9  
9







『オイ、オメェ…何かしてェことはあるか?』

そう聞かれた。

『何か…欲しい物があれば言え。何でもいいゾ』

そう言われた。


何がしたいとか、何が欲しいとか、今までそんな事聞かれたことがなかった。

何もかも、ただ与えられるだけだった。

だからちょっと戸惑ったけど…。
でも、聞かれると何だか嬉しい気がする。

それが何でかは…分からないけれど……。





「オメェ、何が好きなんだ?」
空から戻って、のんびりと午後を過ごして…。
ふいに、ムヒョはそう尋ねた。
「え…?」
きょとんとするロージー。
「食い物でも、物でも…何でもいい。何か教えロ」
じいっと見つめてそう言うが、ロージーは困ったように顔を俯かせて…。
「ええと…、ボクは…何でも…」
「それじゃ答えになってねェだろ」
「う、うん、でも…」
普通、困るような質問ではない。

ムヒョは、ロージーのことを知りたいのだ。

好きな物、嫌いな物。
何を見てどう思うのか。
何をしてどう感じるのか。

何でも知りたい。

だが、ロージーの場合、当の本人が『自分』を全然分かっていないようなので…。
「フゥン…。なら…」
ムヒョはそう言うと少しだけ視線を彷徨わせ…、それからニヤリと笑みを浮かべた。
恐らく…。
ロージーは自分の好みなんて物を考えたことがないのだろう。

ならば、今から知ればいい。
そう、一つずつ、一緒に……。

そして、ぱちんと指を鳴らせば、ぼぼんっと現れる山のような果物…。
一体何種類あるのか…。
季節すら無視して現れた果物類に、ロージーは驚いて目をぱちくりさせた。
「選べ」
「え?」
「これがウマイって思うモンがあるだろ?こっちよりこっちのがいいってのが…」
「あ…ウン!」
ムヒョの言いたいことが分かり、ロージーはパアッと顔を輝かせる。
そして、
「えーっとねぇ、あっ!これ!」
真っ先に手に取ったのは、真っ赤なリンゴだった。
「他には?」
「うんと……あ、これも美味しかったな…後はね…」
そうして、一つ一つ…。
選び出されて行く、好物。
10個ほども選び出されると、それを満足げに眺め、
「覚えておけ。ソレがオメェの好きなモンだ」
ムヒョはそう言った。
「…うん!」
「まずは果物ナ。一つずつ、分かってきゃいいダロ」
オメェの好きなモンをよ、と。
自分がそれに関わることがまた嬉しい。
ヒッヒと笑いながら言えば…。
「ん…どうした?」
じいいっと、ロージーが自分を見つめているのに気付き、ムヒョは尋ねた。
「あのね、ボク、もう一つ分かったよ!」
ロージーはそう言ってフフフと嬉しそうに笑う。
「あ?」

「ボクねぇ、ムヒョが好きだと思う!」

「………」
思いもかけぬ言葉に、ムヒョはポカンとしてしまう。
だが、ロージーは相変わらずニコニコと笑みを浮かべたままで…。
「ボクはあんまり人を知らないけど、だけど、ムヒョの事はすごく好きだって気がするよ」
なんて…嬉しそうに楽しそうに…。
「………」
「って、ムヒョは人じゃないんだよね。でも、龍神様がムヒョで良かったな♪」
「………」
「あれ?ムヒョ?どうしたの?」

果物と同じ…果物と同じ…果物と同じダ…!
落ち着け…オレ…!

ドッドッドッド…と、早鐘のように鳴る鼓動。
赤らんでしまう顔を、思わず背けて…。
「ああ…じゃ、まあ…それも覚えとけ」
なんて…、ムヒョは何だか間抜けな返答をしてしまう。
だが、ロージーはそれを可笑しいとも変だとも思わなかったようだ。
「うん♪」
ただただ素直に返事をされ、それには苦笑するしかなくて…。

ま、一歩くらいは進歩したってトコか…?

ムヒョだって、自分の『好き』とロージーの『好き』は違うと分かる。
今は果物なんかと同じ程。
だがそれでも、単なる『新しい主人』よりは上がったとそう思うから…。
まあ、いいか…なんて思っていれば、
「ねえねえ、ムヒョは?」
ニコニコと顔を覗き込まれた。
「あ?」
「ムヒョは何が好きなの?ボク、知りたいな」
「あー…オレが好きなのは…ま、オメェと大体一緒だナ」
「ホント?」
「ああ」
「そうなんだ〜♪へ〜、何か嬉しいな♪」
フフ♪と幸せそうに笑うロージーに、胸がドキリとする。
別に、適当に合わせたわけではない。
ロージーが選んだ物に、あまり奇抜な物がなかっただけのことだ。

「……オメェもな」

胸を満たした甘く温かい物に後押しされるまま、ぽつりとそう呟いて…。
ムヒョはスッと立ち上がった。
「え?」
ロージーの不思議そうな声を背中で聞きながら、そのままスタスタと歩き出す。
「ムヒョ?何処行くの?」
「少し出かける」
「え??ムヒョ?」
ムヒョォ…と。
呼ばれる名が、何だか少し寂しそうな響きに聞こえるのは…期待なのだろうか。
それとも、少しくらいはそう思ってくれたりするだろうか…。
そんなことを考える自分に、呆れた笑みを浮かべながら、ムヒョは部屋を後にした。




「…今日は用事ナイって…言ったのに……」
ムヒョの姿が消えた扉に向かい、溜息混じりに呟く。
「急に用事思い出したのかなぁ…」
あーあ、なんて…。
何だかとてもガッカリしている自分。

待つことは馴れているし、一人でいることも馴れている…はずだ。

ずっと一人だったのだから。
一人でいることは当たり前で…。
寂しいなんて思ったことはなくて…。
むしろ、気が楽なはずで…。

「………あれ…?」

何かを、ふと思い出した気がした。
何か、同じような事を思ったことがある…そんな気がする。

「…何だろう…何か……思い出しそうだけど…??」

それはきっと…遠い記憶。
思えば、ロージーには幼い頃の記憶が殆どと言っていい程ない。
記憶を探ろうとすれば、何やら胸が痛む気がして…。
ロージーはフルフルと頭を振った。
きっと、それは忘れてしまっていい記憶なのだ。
多分。
忘れた方がいいから忘れた、そんな記憶だと…何故だかハッキリそう思う。
イメージの断片からそう判断し、ロージーはそれ以上考えないことにした。
モヤモヤは残っても、きっとこれ以上、心が痛くなったり苦しくなったりしないから…。

「……ボクの好きな物、か…」

先程選んだリンゴやミカンをズラリと並べ、ロージーはポツリと呟いた。

これがボクの好きな物…。
ムヒョが教えてくれた……って、ボクのことなのにね…。

『一つずつ、分かってきゃいいダロ』

そう言ってくれたことが、とても嬉しかった。

「…あ、そうそう!あと、ムヒョも♪」
フフフと笑みが漏れる。
好きな物を前にした時や、思い浮かべた時の、この何とも言えぬ感じは何なのだろう。
心が温かくなるような、何だかワクワクするような…。
それは、モヤモヤを打ち消して余りある。
「そういえば…」

『オメェもな』って…。
そう言ったよね。
出かけるってゆー前…、あんまりよく聞こえなかったけど、確かそう言った…。

「あれって……もしかして、ボクのことも好きって事かな…?」

そう思えば、何だか急にドキドキして…。
かああっと火照った頬を押さえ、ロージーはざわめく胸に戸惑いを覚えるのだった。





+  続く  +   8を読む   +



++++++++++++++


本当は昨日更新予定だったんですが…。。。

JUS届いてからDSに釘付けで、SSも原稿もスッカリ頭から飛んでました☆(死)

だってだって、ムヒョが魔元帥呼んじゃったり、幽李は真の姿バージョンで出たり、ロジが守ったり、ムヒョが攻撃喰らって吹っ飛んだり(爆)、負けて「チッ」とか言っちゃったりするんだもーーーーんvvvv
そら、やっちゃいますって!
寝不足になっちゃいますって!(子供か…)

とまー、その語りはSNSの日記かブログにでも書こうと思いますが。


えー。
ブログの方にちらっと書きましたが、龍神、プランツの両SSとも、もうじき終わる予定です。
っても、年内に終わることはないだろうと思いますが…。
てか、12月の更新状況どうなるか…って感じですね。。。(^-^;)
あまり、間を空けずに更新していきたいと思ってますので、よければまた読んでやって下さいませ☆
 2006/11/24(金)/15:39:09  No.40



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