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水の中には立派な御殿…なんて、何かの昔話のようなことが本当にあって…。 「ふわあああ〜〜〜…」 間の抜けた声を上げつつ、辺りを見回しているロージーに、ムヒョは上機嫌で笑った。 「上の御殿よりよっぽど豪華だろ?」 上の、と言うのはロージーが今まで住んでいた帝の御殿のことである。 そこに込められた無意識ながらの対抗心のようなモノには丸っきり気付くことなく…。 ロージーは素直にウンウンと頷いた。 「すっごいねぇ〜〜!キミ…ホントに龍神様なんだ?」 「…こんなガキがって思ってんダロ?」 面白くなさそうな顔をされ、ギクリとするロージー。 「そ、そんなことはないけどさぁ!」 アワアワと言うが、ムヒョには全てお見通しらしかった。 「人間って奴はすぐ見た目にダマされやがるからナ」 溜め息一つついてそう言い、ムヒョはつないだ手をグイと引く。 「こっちだ」 「あ、うん」 裸足の足にひんやりと冷たい石の廊下。 天井も柱も見事な細工がなされて…。 奥へ進む内に段々と…色彩が鮮やかになって行く気がする。 そして、連れて行かれた奥の奥の、最奥の部屋…。 大きなドアを開ければ、視界に入るのは天井から下げられた、幾重もの薄布だった。 その奥の大きなベッドへと…連れられるまま…。 「オメェは今日からここで暮らすんだ」 ロージーにベッドに座るよう促し、ムヒョはそう言った。 「え…?」 ここで?ときょとんとした顔で周囲を見回すロージー。 「オレへの生け贄なんダロ?」 「う、うん…」 「ナら、オメェはもうオレのモンだ」 ニヤリと笑った顔が、あっと言う間に近づいて…。 「???」 焦点が合わなくなり、瞬きをした途端に…。 重なる唇。 ぴちゃと小さな水音をたて、舌先が触れた。 驚きからドンッとムヒョを突き飛ばそうとするが、その小さな身体が離れることはなくて…。 逆に…勢いよく押し倒され、強い力でベッドに押さえつけられてしまう。
な、な、な、何?何? 今…、口の中舐められた!
「されたことねェのか?」 「な、何を…?」 本気で分かっていない様子のロージーに、ムヒョはニンマリと満足の笑みを浮かべた。 「フゥン?…彼奴も、まだまだガキだな…」 「アイツ?」 「何でもねェよ」 ヒッヒと笑う楽しげな顔。 その顔はまた近づいて…。 思わずぎゅうっと引き結んだ唇を、ぺろりと舐められる。 そして、ちゅっちゅと軽く、啄むようなキスを繰り返してから…。 ムヒョは段々とその唇を移動させた。 首筋を少しずつ下へ降りてゆく唇の感触…。 「あ…あの…、ムヒョ…?何を……?」 くすぐったいような、何か変な感覚。 それに戸惑って訊ねれば、ムヒョは顔を上げてニヤリと唇の端を上げた。 「わからねぇなら、おとなしく喰われとけ」 「えっ?!?!む、ムヒョ、ボクを食べるの?!」 大きく見開かれた瞳。 驚きと不安に満ちたその表情に、堪らない可笑しさを覚えながら、ムヒョはまた口付けた。 「ああ、別の意味でナ」 「別の意味???」 きょとんとするロージー。 こんな状態で何もピンと来るものがないのだろうか。 呑気というか、鈍いというのか…。 純粋培養で育てられたってワケか?なんて…。 そんなことを思えば、どうしても…ヒッヒと笑みが漏れる。
ずっと…とっくのとうに帝に奪われていると思っていた。
だが、二人の間には何もなかったのだ。 いい方へと予想が外れ、ムヒョはただただ嬉しくて…。 「ま、殺しゃしねェよ♪」 安心しナと囁いて…ムヒョはその指先を着物の下へと潜らせた。 「え…?えっ、あのっ?」 首筋を降りて行く唇の熱さ。 肌を撫で、辿る指先。 ゾワゾワと得体の知れない感覚が生まれる。 「ね、ねえ、むひょ…っ?!何して…?何か…変なんだけど…」 「考えねェで、感じロ」 くぐもった声での短い命令。
考えないで…感じろ…? 何を?
何をどう感じるの?なんて…そんな事を思う内にも、ワケの分からない感覚がどんどん体内を騒がせている事に気づいて…。 ムヒョの手が、肌を撫でる度…。 ムヒョの唇が、肌に落とされる度…。
あ、これかな? この変な感じのこと? 何か…ゾワゾワッてゆーか…ゾクゾクッてゆーか…?
眉根を寄せ、今感じているこのとりとめもない感覚を何と表現したモノか…などと。 だが、そんな事を考えていられたのは、そこまでだった。 「あ…っ?!」 下へ下へと降りていったムヒョの手が、唇が、思いもかけぬ場所に触れて…。 その途端に。 「あぁっ?!や、ぁ…あ、な…ん…っ」 それまでとは比べものにならぬ程、鮮烈な快感が脳天を貫く勢いで背筋を走り抜ける。 されている事への驚きから、藻掻いて半身を僅かに起こせば、下にいるムヒョと目があった。 「や…っ、むひょ…っ!」 ムヒョの唇が触れているのは、自分ですらそう触れる事のないそんな場所…。 ソコを小さな舌がれろと舐めるその様に瞠目して…。 何で、何が、何を…と、頭の中を『何』が一気に埋め尽くし、脳がショートしてしまう。 感じるのは嵐のような快楽。 「あ…ぁあ…っ」 そう、快楽だった…。 今までに知り得なかったその感覚を、けれど人として備わっている本能が『快感』だと認識させている。 下肢から広がるさざめきのようなそれに、ロージーはぎゅうっと目を瞑るが、その瞼の中には、濃いブルーの瞳が焼き付いて…。 楽しげでいて真剣な視線…。 ムヒョの言った『別の意味で喰う』というのはこういうことなのだと…。 こみ上げる熱の中、ロージーは頭の片隅で妙に冷静に納得していた。
「ふぁ…あ…っ、あつ…い…」
はあと喘ぎながら、ロージーは呻くように言葉を漏らした。 引き裂かれるように貫かれ、死んでしまうとすら思った最初の痛みは、けれど今はもうなくなって…。 代わりに、狂おしいほどの快楽が、繋がるソコから身体を溶かし、思考をも白く染めている。 最奥を突き上げられ、揺さぶられ、その度に身体がグズグズと形をなくしていくようで…、ロージーは縋る物を求めて手を伸ばした。 何かに掴まらなければ、何処かへ行ってしまいそうだった。 「は…ぁあっ、あ…っ、ん…ぅん…っ」 喉から上がる、甘い声。 すすり泣きのような、女の子のような、細く高い声。 自分がこんな声を出すなんて、今まで思ったこともなかった。 仰け反る背。 何か定められたラインのような物を越えてしまう…と。 そんな思いをヒシヒシと感じ、頭では分からないというのに、身体はそれが何か分かっているようで…。 越えたいような、越えたくないような…。 ともかく、今、自分はギリギリのところにいるのだと…それが分かる。 「ああ…っ、い…っ」 漏れる息が熱い。 かかる息も熱い。 薄く目を開ければ、真上から自分を覗き込んでいるムヒョと目があって…。 楽しそうな…それでいて真剣なその視線の熱さに、ゾクゾクと…背を這い昇る快感が増す。 「あっ、も…いっちゃ…ぁ、あ…っ、い…っ」 心のままにそう訴えれば、ムヒョはニヤリと笑みを浮かべた。 「ん、ああ…いいゾ、イけ…」 「あああっ!」 グイと強く打ち込まれ、ゾゾゾと奥底から走る強い快感。 全身に漲る緊張。 更に奥へ奥へと入り込もうとするムヒョを感じて…。 「やっ、や…ぁあっ、だめ…、も…っ」 フルフルと、ロージーは必死に頭を振る。 「ほら、イけよ」 そして、更に強く押し込まれたムヒョに…。 「あ…ぁあ…、はぁあっ!んっ、ぁ…ああぁあああっ!」 ロージーはビクビクと身を弾ませると、欲望を吐き出した。
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前に書いたのに少し前後をプラスして。 このムヒョたんは小さいままなのですが…やっぱりエッチはしっかり気持ちよく!と思うので、あまり身体の小ささを意識しないよう、普段(海闇とかマルククね)と変えずに書いてみました。 ほら、龍神だし☆ その辺いろいろ都合良くなってるんだよ。 すごいんだヨ、きっと♪(何が…) えー、続きはまたそう遠くない内に…と思いつつ。 この話はこんな感じで続くかと思うのですが………よ、よろしければまた読んでやって下さいませ☆(爆)
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2006/07/08(土)/23:01:15
No.27
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