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4☆
おはよう、も。 おやすみ、も。 行ってらっしゃい、も。 おかえり、も。 大好き、も。 大丈夫?、も。
ムヒョはどんな時にもちゅっと、軽いキスをくれる。 『好きだ』って言ってくれる。
ボクだけを見て、ボクだけのために生きている……プランツ・ドールのムヒョ…。
「ムヒョ〜vvvたっだいまぁ〜〜vvv」 バーンと勢いよくドアを開け、ロージーは部屋に駆け込むと真っ先にムヒョへと抱きついた。 「あーんvv8時間ぶりだね!元気にしてた?」 「ああ」 ちゅっちゅっと頬に繰り返されるキスをおとなしく受けてから、ムヒョもまた自分を抱きしめているロージーへ軽いキスを返す。 「お昼のミルクはちゃんと飲んだ?」 「ああ、飲んだゾ」 それくらい一人で出来ると、ムヒョは少し胸を張って言う。 「ムヒョはホントに何でも出来るね〜!」 「フン、当然だ!」 「いい子だね〜!最初は気難し屋かと思ったのに……。でも、あんまり世話出来なくて、何か少し寂しいかな…」 なんて…と笑えば、ムヒョはさも不思議そうにロージーを見上げた。 「…世話したいのか?」 「そりゃしたいよ☆だってキミったら、朝は起こす前に起きてるし、着替えは一人で出来るし、ボクがいなくてもちゃんとご飯食べるし、一人で遊べるし、トイレもお風呂も全部出来るんだもん!手がかからなすぎるよ〜!」 「そんなこと全部、出来て当然だろう?」 「そうかなぁ……」
本とかで読んだ限りじゃ、プランツ・ドールの世話って持ち主がやるみたいだけどな…。 で、いろいろ我が儘で大変だって…。 でも、みんな、自分ちのプランツが我が儘なの自慢してるっぽいんだよね。 まあ、ちょっと…分からなくもないけど…。
「あのね、ムヒョはもっと我が儘言っていいんだよ?」 ボク、一生懸命面倒見るつもりなんだから!と、そう言えば、ムヒョは少し困ったような顔をした。 「……我が儘…?」 「うーん、たとえばさ、もっとボクと一緒にいたい!とか言ってくれると、ボクとしてはものすごーーく嬉しかったりするんだけど♪」 ピンと来ていないらしいムヒョに、エヘヘと笑ってそう言ってみる。 だが、
「…そんなことを言ったらオメェが困るだろ?」
ムヒョはもの凄く真面目な顔で、もの凄く真剣に聞いてきた。 「オメェにはオメェのやらなきゃいけない事があるんだろうし…オレにばっかかまってはいられねぇダロ?」 これにはもうロージーも笑うしかなくて…。 クスクスと、困ったように笑いながら、ぎゅううっと抱きしめる腕に力を込める。 「ムヒョはホントにいい子だね!聞き分けはいいし、優しいし…。ボクの事、考えてくれてありがとうv大好きだよ、ムヒョ」 「ああ、オレもロージーが好きだ」 ちゅっと口付けてくれる唇。 真っ直ぐに見つめてくれる青い瞳。 ニッと浮かべた笑みに頷きながら…。 「でもね、もしムヒョが悪い子でも、我が儘言ってボクを困らせても、それでもボクは君を好きなんだよ?」 「……オメェの言う事は時々ワケがわかんねェ…」 眉根を寄せた少し困ったような顔。 「そお?」 フフと笑いながら、ロージーはまたちゅっと軽く口付けた。
よく分からない不安がある。
自分を気遣うムヒョに気付く度…。 何か…、ハッキリとしない『何か』を見るような気がして…。
「ねえ、ムヒョ…」 「何だ?」 猫のような瞳に、自分が映っているのを見つめながら…。 「あのさ…今日……」 問いかけようとして、途中で迷う。
聞きたいことがあった。
ムヒョがロージーの元へ来て、既にひと月。 その間に数度あったことを…。 いつも尋ねようと思って、でも何となく、尋ねられないで…。 今日も、また…。
「どうした?」 「ん…、今日はさ、一緒にお風呂入ろっか?」 怪訝な顔をするムヒョに、ロージーはそう言ってエヘヘと笑った。 「あ?別にいいゾ?」 何だそんなことかと言いたげな顔をしてから頷くムヒョ。 「じゃ、ご飯食べたらね♪」 「ああ」 ちゅっと口付ければ、お返しとばかりの軽い口付け…。
そう……ムヒョはボクにキスをくれる。
『好きだ』って言ってくれる。 笑いかけてくれる。 それは全部ホントだって分かってる。 何でかお金をたくさん持ってるし。 自分のことは自分で出来ちゃうし。 ボクに面倒かけないようにって、気を遣ってくれてる。
でも……ムヒョには秘密があるよね…。
ボクに言ってくれてない事がある。 ボクに気付かせないようにしてる事が…。
『ねえ、ムヒョ?今日の午後、何処に行ってたの?』
聞きたくて、聞けないでいる事。 母親から、日中に時折ムヒョが何処かへ出かけているようだと聞いた時には、耳を疑ったものだ。 プランツ・ドールが勝手に外出する等、聞いたこともない。 『ムヒョは特殊だから』とヨイチは言っていた。 その意味も、ロージーは未だに聞いてはいない。
聞きに行くべきなのだろう。
だが、何故か、何かが怖くて………。
聞いたら、何かが変わってしまいそうで………。
「どうした?」 「ううん。さ、下に行こっか♪」 怪訝な瞳に首を振る。
青い瞳の中でニッコリと笑う自分。 手を差し出せば、ぎゅっとそれを握り返して、ムヒョはヒッヒと笑った。
+ 続く… + 3を読む +
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とゆことで。 プランツムヒョの4話目。 プランツらしくないムヒョたん、益々プランツらしくなくなってきますね(爆) 次はヨイチとの会話かな。 ムヒョは何が特殊なのかとか、書いていこうかなと思いますが…プランツの次を上げる前に、多分、生け贄の続きがアップされるかと思います。
良ければまた、読んでやって下さいませ★
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2006/07/02(日)/00:36:13
No.26
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