【不思議の国の… 2】


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ニセモノ&イロモノ多発ですが、大目に見てやって下さいませ〜(爆)
不思議の国の… ・2  
 
2☆ 





「プランツ・ドールってものを知ってるか?」

勧められたお茶に手を伸ばした途端、そう話しかけられて…。
「いえ…、すみません…」
ロージーは出しかけた手を引っ込め、ヨイチを見上げた。
彼はお茶のポットをテーブルに置くと、手近なイスに座る。
「ま、あんま市場に出回ってるモンでもねーしな。旧くは貴族の愉しみだったし…。知らなくても無理はないんだけどさ…」
「はあ…」
曖昧に頷きながら、チラリとムヒョと呼ばれた子供を見れば、彼は大きなマグカップを両手で抱え、何かをゴクゴクと飲んでいた。
「ここにいる人形達が、それなんだ。つまり、ここはプランツ・ドール屋ってわけ」
ヨイチの話は続く。
「…で、プランツ・ドールって…何なんですか?」

「プランツ・ドールは…まぁ、一言で言や『生きた人形』だな…」

「へー…って…、え……?」
ヨイチがサラリと言ったその言葉は、けれど、すんなりと脳に入ってくれなかった。
「生きた……にん、ぎょう?」
冗談か聞き間違いかと、ロージーはヨイチの次の言葉を待つ。
だが、ヨイチのケロリとした表情は、それが冗談ではないことを雄弁に物語っていた。
「あ、あの…、それはお人形が…動くとか…そーゆー…?」
「動いてるだろ?実際…」
「あ!さ、さっきの子?!」
「さっきの子もだけど…ほら、現に今、いるじゃん」
目の前に…と、そう言ってヨイチが示しているのはムヒョ…。
一瞬、頭の中が真っ白になる。
「え?え…え?ちょっと…まっ…」
「まーまー、深く考えると頭痛くなるからさ☆目の前にある現実をとりあえず受け入れてみなって」
「…えと…、つまり……ムヒョは…プランツ・ドール…なの?」
「そうだ」
信じられないと思いながらも訊ねてみれば、あろう事か、本人がキッパリ頷いた。
思わず、ぽかーーんと口を開いてムヒョを見つめてしまう。

そんな…まさか……だってどっからどう見ても…普通の子供じゃ……。

「ま、ムヒョはかなり特殊なんだけどな」
「特殊…?」
「うん、まあ、それはいいとして…。プランツは持ち主を自ら選ぶんだ。んで、ムヒョはロージーを選んだってわけ。ここへ来て2年…誰にも見向きもしなかったってのにな」
全く驚いたぜ、と肩を竦めながら言ったヨイチに、ムヒョがムッと顔を顰める。
「お喋りが過ぎるゾ、ヨイチ」
「だってホントだろ?」
「…ボクを……選んだ…?」

持ち主に?
ボクが…ムヒョの…持ち主………???

「な、何で…ボクなんか…」
「さあな。でも、プランツってのは愛情が栄養でさ。だからこそ、持ち主を選ぶ目ってのは確かなんだぜ?」
戸惑うばかりのロージーに、ヨイチはそう言ってにんまりと笑った。
「…説明はもういい。とにかく、そーゆーこった」
ジッと自分を見つめるコバルトブルーの瞳。
作り物であるはずのその瞳は、けれどハッキリとした意思の光を持っている。
「オメェがどーしてもオレを気に入らねェなら、それはそれで仕方ねぇ。だが、もし…そうでもねェってなら…」
「そうでもないなら…?」

「オレはオマエのもんだ」

キッパリハッキリと言ったムヒョのその言葉に、ロージーの胸がドキリと大きく高鳴った。
「ボクの…もの……」
人と変わらぬように見えるムヒョ…。
誰かが自分のものになるなんて…そんなことは思った事もなかったから……。
ドキドキと騒ぐ鼓動を感じながら、噛み締めるようにその言葉を呟く。

ムヒョは…ボクのモノ…。

だが、ロージーがその言葉を実感するよりも先に、
「店としては、お買い上げ頂かないと困るんだよな〜。置いて行かれると、下手すりゃ枯れちまうからさ〜」
横からヨイチがそんな事を言い出して…。
「えっ?か、枯れる?!?!」
ロージーはその言葉に驚き、ギョギョッとしてヨイチを見つめた。
「プランツって一途でさ〜、選んだ相手以外見向きもしねーんだわ。んで、その相手の愛情がないと、枯れる…つまり死んじまうんだな」
難儀だよな〜なんて言って溜息を付くヨイチ。
「え…えええええ〜〜?!?!そんなっ、そんなの大変じゃないですか!ボク、ムヒョが枯れちゃうなんてイヤです!買います!買いますよ!!」
「あ、そう?そうしてくれると助かるな〜♪」
ニッコリ。
今見せた深刻そうな顔は何処へやら…。
ヨイチは輝かんばかりの笑顔になると、ロージーへ一枚の短冊を差し出した。
古風なそれに筆で書かれている何やらの数字…。
それを目で追って……。
1、2、3、4…とゼロの多さを数えて……。
ゴシゴシと目をこすり、もう一度マジマジと短冊を見るロージー。
「…な………」
「どうかした?」

「どうかした…って…!何なんですか?!?!この値段っ!!!てか、無理…無理だよぉ!ボク学生だもん、そんなお金あるはず…ってか、こんなのフツーの家じゃ払えないよ!」

ヨイチの提示した金額に危うく目が飛び出しそうになりながら、ロージーは必死でそう言った。
すると、
「心配いらん」
コトン、とマグカップをテーブルに置いて、ムヒョがキッパリとそう言う。
「え?」
目にいっぱい涙を溜めたロージーが、何とも情けない顔で振り返るのに溜め息を付いて…。
「ヨイチ、あまりコイツをからかうな」
ムヒョはヨイチに咎めるような視線を向けた。
「へーへー。ったく、ホントに本気なんだな…ま、いいけどさ…」
ヨイチは肩を竦めると、値段を書いた短冊をビリビリと破いてしまう。
「え?あ、じょ、冗談…だったの?」
なーんだ、そうだよね、あんな金額いくら何でも…と、アハハと笑いかけたロージー。
「んにゃ、ホントのホントであの値段。でも…」
ヨイチはソレにあっさりと否定を返し、ムヒョを見やった。
「オレに掛かる金はオレが払う」
ムヒョはケロリとした顔でそう言い、ひょいと椅子を降りる。
「え…?は…払うって…?」
「お前は気にしなくていい」
「ま、それだけ惚れられたって事だからさ♪」
「…ヨイチ…てめぇ…」

え…?え…??
惚れられた…って…?
てゆか、あんな大金を払うって……ど、どーいうこと??

目を丸くするするロージーをよそに、ムヒョは暫くヨイチを睨んでいたが…。
やがて、
「…とにかく、お前の家に行くぞ!」
ロージーを見ると、そう告げた。



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プランツムヒョその2であります☆
プランツ・ドールの原作読んだことのない方、プランツってどんな物??と思われるかもしれませんが、私がここで書いているプランツムヒョたんはかなり反則な感じであります。
オリ設定入りまくってますので、こーゆーものなんだ〜とか思わないで下さいね(爆)
目ェ覚ましてるわ、喋ってるわ(いや、プランツちゃんも育て方次第では喋るようになるらしいですが…持ち主以外と喋るなんて普通はないんですな)、好き勝手動いてるわ、あげくに自分の代金自分で払うなんて…あり得ないあり得ない(苦笑)
ま、その辺もいろいろと、この後の流れで出していきますが。
とりあえず、次あたりでムヒョロジの交流を!!!書きたいと思っております〜☆(何だこの意気込み)
よろしければ、またおつきあい下さいませ☆☆
 2006/06/10(土)/00:24:40  No.22



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