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「…う〜、何で目ぇ覚めちゃうかなぁ…」
何ともかんとも情けな〜い呟きを上げて…。 ロージーは魔法律学院の暗い廊下を歩いていた。 時刻は真夜中をとうに過ぎている。
トイレトイレ…。 確か、ここを曲がったトコだったよね…。
訓練時以外は、安全なのだろうとは思っても、やはり、暗闇の中を一人で歩くというのは怖いものだ。 特に、この魔法律学院での強化合宿が始まってから、まだ僅かに2日目。 不慣れな建物の中、廊下の壁に手を添えながら、どうにも腰が引けてしまうのは無理からぬ事で…。 怖くない、怖くないと胸の内で繰り返しながら、そろそろと廊下の角を曲がる。 すると、その途端に、ドンッと…。 曲がり角の向こうから現れた人物に、勢いよくぶつかってしまって…。 「うわっ?!」 はじき飛ばされそうになるが、伸びてきた腕に引き留められ、何とか転がるのは免れた。 そしてそのままボスッと、包み込まれるように胸の中…。
「おや、ロージー君」
頭上からかけられたのは、聞き覚えのある声だった。 窓から差し込む月明かりに、その人物の顔が照らされる。 「あ…っ!ペイジさん…、じゃなかった…院長、か…。ペイジ院長!」 律儀にも言い直すロージーに、ペイジはクスリと笑って…。 「トイレかね?」 ロージーを抱えたまま、訊ねた。 「あ、はい…、あの、ペイジ院長は見回り…ですか?」 「まあ…、そんなとこだね」
そんなトコ??? 院長って…変な人…もとい、不思議な人だなぁ…。
「あの、すみませんでした!ぶつかっちゃって…」 そっと手に力を入れ、ペイジの身体を押しやろうとするが、それはびくともせずに…。 「いいや、かまわんよ」 ケロリとして言われ、ロージーは戸惑ってペイジを見上げた。
ムヒョの師であるペイジ…。
自分よりも高い位置にある、一見穏やかそうな、優しそうな瞳。 ケンジが見たら、これまたタマネギと呼ぶのであろう、ムヒョと同じ独特の髪型をして…。 髭を蓄え、執行服に身を包んだその姿は、威厳と落ち着きに満ちている。
ムヒョも……年取ったらこんな風になるのかな…。
何故かふと、そんなことを思っていると、 「君と話がしたかった」 唐突に、ペイジが言った。 「え?」 きょとんとするロージー。 ペイジは、そんなロージーの顔を覗き込み、フフと笑う。 「二人きりで…ゆっくりとね」 「ええと…?それは……ムヒョのこと…とか…?」 何か…含みを感じるその言葉に、ロージーは戸惑いながらも訊ねた。 ペイジが師として、弟子であるムヒョを心配していることはロージーも知っている。 だが、 「ムヒョはこの際忘れて貰いたいものだね」 サラリと言われた言葉は、それをアッサリ否定した。 顔が近い。 変わらず笑みを浮かべたままのペイジ。 それにゾクリと…背筋を冷たいモノが走って……。 「……あの、意味がよく…分からないんですが…」
何か…変だ……。 逃げなきゃ……。
急に、ロージーはそう思った。 ペイジの腕の中にいることが、突然、もの凄く居心地悪く感じられて…。 今すぐ、離れなければと思う。 だが、ロージーが藻掻けば藻掻くほど、ペイジの腕はその力を強めて…。
「は、離して下さい!」
ついに、ロージーはそう叫んだ。 ペイジがクスクスと笑い出す。 「…君は少し、身の危険を感じるのが遅過ぎはしないかね?」 「身の危険って…」 「やれやれ、コレではムヒョも心配するはずだ…」 「え?ムヒョ…?」 ペイジの言葉はまるっきり理解が出来ない。 ロージーは、その全く脈絡のないような言葉にいちいち反応しながら、困ったようにペイジを見上げた。 ペイジの瞳が怪しい色を乗せ、不適に笑った…と、思った次の瞬間…。 それは一瞬で近づいて、そして、額に暖かな感触が押しつけられる。
……え……?
「ほら、こんなに簡単にキスも出来てしまう」
「?!?!?!」 大きく大きく見開かれるロージーの瞳。 「本当は唇でも奪ってしまいたい所だが…、もしかしたらムヒョもまだかも知れないだろう?そうだったら悪いからねぇ」 クックと、本当に楽しそうに笑っているペイジを唖然として見つめ、ロージーはあまりの事に目眩すら覚えて…。
な、何なのっ?!?! い…一体、これってどーゆーことなのさーーーっ?!?!?! キスって…、キスって…今確かにおでこにちゅって……!!!! っていうか、く、唇は、ムヒョがまだって……ペイジ院長ってば何言ってんのー!
かあああああっと、一気に赤く染まる頬。 ペイジにキスされた事より、ムヒョとまだと言われた事の方が胸を騒がせる。 「…おや、本当にまだなのかね?…思ったより奥手だな…ううむ」 「なっ!奥手って…?!何言ってるんですかっ!」 シミジミ呟くペイジの言葉に、悲鳴のようなロージーの声が上がった。 「そんな…、何で、ムヒョがボクなんか…っ!ってゆーか、ボクは助手で、ムヒョは執行人で…っ」 「もう2年も経つのにねぇ……健康な男の子なのに…うーん、健全じゃないなぁ」 「だから…っ!ホントにさっきから何言ってるんですか?!ペイジ院長っ?!」 ここに他の人間がいれば、健全じゃないのはアンタの頭だとでも言いたい所だろう…。 だが、今この廊下にはペイジとロージー以外の人間は居なかったので…。
「ふーむ…これは由々しき事態だ…。ロージー君、こんなに可愛いのにねぇ…2年も手を出さないなんて…」
シミジミとセクハラ発言を続けながら、ついでにギュウギュウ抱き締めるわ、ヨシヨシと頭やら顔やらを撫で始めるわ、好き放題。 「ちょっ、聞いてますか?!?!だから、何でムヒョがそんな…っ!」 「我慢強いにも程があるってものだよ…ねえ、大体、体に悪いじゃないか…」 「ぺ、ペイジいんちょーーーっ!何の話なんですか〜っ!!!」
かくして…。
その後、騒ぎに気付いた当直の人間に発見されるまでの十数分……。 からかっているのか本気なのか分からないペイジの発言は続き、それを放置出来ないロージーもまた、届かぬ声を上げ続けるのであった…。
。おまけ。。。。。。。。。。。。。。。。。
ビコ; どしたの?ムヒョってば怖い顔して… ムヒョ; ……何でもねぇ (何か…この方角に、急に殺意が…) ヨイチ; ん?あっちって魔法律院だろ? 何だよ〜、ムヒョってばやっぱロージーが心配なんじゃん♪
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とゆことで。 ブログの方で言っていたペイロジを。。。
いや、変えましたけど…。
変えましたよ…。 最初、フツーにちゅうとかしてたんですが、ロジたんマジに泣くって!ムヒョ怒って殴り込むよ!って思ったので(笑) まー、それでも充分触ってますが(苦笑)
ロジたんは犬のようなので、すっごい撫で回したい気分にさせられますよね〜vvv 可愛いよなぁ、ホント♪♪
ところで、ナナセは最近になってWJ読み始めたので、コミックとの間のブランクでムヒョのお見舞いに来たペイジさんの話を見ていません。 なので、ペイジさんがムヒョに対してどんな態度を取っているのか、その話し方、呼び方を知らないのです〜! 全然違ってたら、マジでゴメンナサイ…(汗) ケッ、にわかファンがよぉ、とゆことで、ひとつ……み、見逃してやって下さい…(汗) ホントは5巻読むまではペイジさん出すのは我慢しようって思ってたんですが、昨日の第50条読んだら我慢出来なかったよ〜…(爆)
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2005/12/08(木)/11:11:10
No.3
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