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その日は朝から何だか身体が軽い感じで…。 目もぱっちりと覚めて、頭もスッキリしていて…。 起き抜けに、うーんと背伸びをしたら、とても気持ちが良かった。 だから、今日はいいことありそうな気がする♪と、ロージーはウキウキだったのだ。 ベッドから寝ぼけ眼で降りてきたムヒョが、
「…オイ、オメェ…。何のつもりダ?その格好は…」
と、そう声をかけるまでは…。 「え?」 ふいにかけられたその驚いたような呆れたような声…。 味噌汁を温め直していたロージーは、きょとんとして背後を振り返った。 「え?なぁに?何かついてる?」 「……ああ、余計なモンが2つばかりナ…」 鏡で見て来いと言われ、ロージーはパタパタと洗面所に駆け込んで……。 「えええええ〜〜?!?!?!」 程なく上がった声に、ムヒョは溜息をつくと自分もまた後を追う。 が、ロージーは直ぐに戻ってきた。 「む、む、むひょぉっ!みみっ!耳が…っ!ボク、耳生えてるっ!」 「ああ、それと尻尾もナ」 「え?あ、ああっ?!ホントだ!尻尾まで!」
さっき、余計なモン2つっつっただろーが…。
ムヒョの指摘に慌てて後ろを振り返るロージー。 「やだやだぁ〜!何コレぇ〜!」 「知るかよ。つーか…ソレ、ホンモノなのか?」 オメェがふざけて着けてんじゃなく…と聞けば、 「ホンモノみたい…。だって、これ動くんだよ〜?!わーん!やだ〜!気持ち悪いよ!取って〜〜っ!」 ピクピクと動く耳。 尻尾に至ってはもっと自由に動かせるらしい。 気持ち悪い!と騒ぐロージーに、けれどムヒョはうねうねと動く尻尾が面白くて、無造作に手を伸ばした。 「ヒッヒ♪しかし…、こりゃあまた随分と立派な尻尾だな…。つーか、マジで生えてやがる…」 「ひぁあっ!」 ムヒョの手が、その長い尻尾に触れた途端、ロージーが大きく身を竦める。 「あ?」 上がった声と、ビクリと逃げた尻尾…。 ムヒョは少しだけ驚いたように目を見開き、ロージーを見た。 ロージーもまた、驚いたような顔でムヒョと、自分の尻尾を見比べている。 かあああっと、瞬時に赤く染まる頬。 ムヒョはニヤリと笑うと、素早く尻尾を掴んだ。 「やあぁあっ!」 ゾゾゾゾゾと、背筋を走るムズ痒いような感覚。 足下から力が抜けてしまい、ロージーはぺたんと床に膝をついた。 「や、だ…ぁん、ムヒョ、手…離してよぉ…」 「へぇ、尻尾なんかでも感覚あんのか?」 しかも、何やらイイような感覚が…と。 ムヒョの顔に広がる、楽しそうな笑み。 指先が、掴んだままの尻尾をソロソロと撫でる。 それだけで、さざ波のように広がる快感。 「ぁああ…んっ、や、だってば…ぁ…」 逃げたくても足に力が入らず、ロージーは縋るような視線を向けた。 それは、ロージーとしてはやめて欲しいという訴えを込めているつもりなのだが、ムヒョ的にはもっとして欲しいと取れる瞳で…。 「ふぅん、尻尾がイイのか…」 ヒッヒと笑うと、尻尾の先に口付ける。 微かに触れただけの唇…。 けれどのその感触にすら、尻尾はビクリと跳ねて…。 「あああっ!」 軽く歯を立てられ、ビリリと痺れるような快感が走った。 「んん…、やだ、も…っ、そんな…やめてよぉ…」 「やめて欲しそうには見えねぇゾ?ほら、正直に言えヨ」 「む…ムヒョってば!まだ、朝なんだよ…っ!」 「あのなぁ、夜すんのも朝すんのも変わんねぇダロ?」 「変わる〜っ!」
窓の外も、部屋の中も、こんな明るいのに! 恥ずかしいよ!!!
そう思ったのが顔に出たのだろう。 「明るいのが気になんなら、目ェ瞑ってロ♪オレは別に気になんねぇからナ」 ムヒョはニヤニヤと笑ってそう言った。 「なっ!ムヒョのエッチ!」 「フン、今更だナ♪」 だからどうした、なんてケロリと言われて、ロージーはウウッと言葉に詰まってしまう。 そして、唖然としているロージーに顔を近づけ、その瞳をマジマジと覗き込んで…。 「なぁ、本当にイヤなのか?」 なんて…。 ムヒョは惚れた弱みにつけ込むように、そう尋ねた。 「ず…、ずるいよぉ、そんなのぉ…」 泣き出しそうに歪められたロージーの顔に、ニヤリと笑ってみせるムヒョ。 「何でだ?イヤならイヤって言えばいいだろ?」 「……っ、ムヒョの意地悪!」 「アホめ、言葉と身体が一致してねェんだヨ♪」 素直になりやがれ♪と満足そうに笑い、ムヒョはロージーの尻尾に口付けた。
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時計の針はまだ九時を回ったところ…。 平日の朝だというのに、六氷魔法律事務所には濃密な夜の音が響いていた。 甘い喘ぎ。 熱い吐息。 淫らな水音。 普通の状態のロージーなら、耳を塞ぎたくなるようなそれらの音…。 けれど、今はもう恥ずかしいなんて思う余裕は、欠片もない。 「ぁっ、あ、い…ぃ…よぉ…」 抉るように打ち込む度、ロージーは背筋を震わせて…。 支えられぬ上半身を床に伏せ、ただただ喘ぎを上げている。 ビクビクと震え、あちこちに動く尻尾は体液に濡れそぼり、それが何とも淫らで…。 「オイ、折角だ。にゃあって鳴けヨ」 ムヒョは目を細め、戯れにそう言った。 「んん…っ、ぁ…え…?なに…」 「ネコだろ?」 いつもの、ヒッヒという独特な笑い。 少し掠れたその声にロージーはドキリとして…。 振り返れば、見下ろしているその瞳と目が合う。 熱い、その視線。
もう、ムヒョってば…楽しそうなんだから…。 そんな顔されたら…ボク、何でもしちゃうよ…。
「…ん…っ、にゃ…ぁ…」 ロージーはムヒョと視線を合わせたまま、小さく鳴き真似をした。 「ヒヒ…ッ、上出来、ダ…」 ムヒョの顔に広がる満足気な笑み。 ぎゅっと尻尾を握られ、ロージーはまた大きく身を震わせる。 「にゃあ…んっ!」 高く甘い鳴き声。 いい声ダなんて呟いて、ムヒョはまた深く己を穿った。 内壁を擦る感覚と、ズブと奥へ入り込む衝撃に、痺れるような快感が全身を走って…。 「ぁ…あ、あ、にゃ、ぁあっ、にゃ…ぁあん」 飛びそうな意識をギリギリで繋ぎ止め、ロージーは懸命に鳴き真似を続ける。 しなやかに撓る白い背。 床にこすりつけるような位置にある頭には大きな耳をつけて…。
ま、ホントなら、コイツはネコっつーより犬だがナ…。
ネコ耳と尻尾もなかなかだが、犬のフワフワした尻尾もなかなかかもしれない…と、そんなことを考え、ニヤリとするムヒョ。 何故、こんな事になったのか、ムヒョにはもう大体、見当がついていた。 だからこそ、この状況を存分に楽しんで…愉しんで…。 より深い快楽を求めてか、ムヒョの腕に絡みつこうとする尻尾。 長いそれを掴んで扱き上げれば、ビクビクとロージーの内部に震えが走る。 「にゃ、あ…ぁ、あ、だ、だめっ、も…っ、むひょ、む、ひょ…ぉ」 きつい締め付け。 身を包む嵐のような快楽にククッと笑って…。 「ああ、いいゾ、イケ」 ムヒョは短く許可を出した。
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さて、ムヒョとロージーが互いに満たされた気持ちで床に転がった、丁度その頃…。
「…へ?ロージーがネコになる薬の瓶を割った?」 ヨイチは素っ頓狂な声を上げ、目の前のイスに座るビコを見つめた。 「うん。昨日ムヒョとオフィスに来たんだけど…その時にね」 ビコはうんと頷きながら、イチゴジュースに口を付ける。 「ネコになるって…、ホントに…ネコになっちまうのか?」 「瓶が割れた時にかかったくらいだから、完全に変身することはないと思うけど…。耳と尻尾くらいは生えてるかもしれない…」 「…解毒剤とかないのかよ?」 「あるけど…、異変が起きたら連絡してくるだろうと思って」 こないって事は平気なのかな?と大きな瞳で見上げるビコに、ヨイチは何とも言えぬ複雑な表情を返した。
もし、ロージーにネコ耳と尻尾が生えたら……。
一緒にいる相手が普通の人間ではなくあのムヒョであるからして、原因には直ぐに思い当たるだろう。 ビコが慌てて連絡しない事から、危険性は低いと判断し、ならば…と……。
あー…今頃絶対よろしくやってんな…。 クソ…ネコ耳ロージーかよ…。 ソレちょっと萌えじゃね?
「…羨ましいヤツ…」 「何が?」 思わず呟いてしまったヨイチに、ビコが不思議そうな視線を向ける。 「いや、何でもねぇよ。それより、その薬って効き目はどのくらいなんだ?」 「ん〜…まあ、長くても今日一日くらいだと思うけど…」 「今日一日か〜…」 「解毒剤…届けた方がいいと思う?仕事にならないよね?ネコ耳と尻尾なんか付いてたら…」 一応、責任を感じているらしい。 赤いストローをいじりながら、何処か心許なさげに言うビコに、ヨイチはニッコリと笑みを浮かべて見せた。 「いや…ほっといていーんじゃねぇ?」
多分、いや、絶対。 今日は事務所入れないぜ。
今頃、ドアには出張中の張り紙でもしてあるだろうナと。 その様子を思い浮かべれば、笑みは苦笑に変わって…。
そして、ヨイチの想像通り、その日の六氷魔法律事務所のドアには、ムヒョの手書きで『出張中』と貼り紙がされ、それは翌日まで剥がされる事はなかったのだった。
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2006年5月のオンリーで発行したコピ誌の話です。 ネコ耳なロジが見たいとラクガキした時に出来た話だったかと。。。 つか、チェンジといい、コレといい…、この時期のあたしはコピはイロモノ!と心の中で決めてでもいたのだろうか……(笑) いや、多分、前ジャンルの影響が強かったせいなんでしょうけどね。 何か、エロ書かなきゃ…!ってゆーね。
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2008/03/30(日)/00:17:49
No.83
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