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成る程…。
どうやら、自分は夢を見ているらしい。
しかもご丁寧に、夢の中の自分も『今、目を覚ました』という所らしい…。
寝起きのぼんやりした頭でそう思い、ムヒョは二、三度瞬きをした。 瞬きの度、ぼんやりしていた視界が少しずつハッキリしてくる。
だが、目の前にいる人物は、その姿を変えることなく…。 何とも不安げな表情でムヒョを見つめていて…。
今、ムヒョの目の前にいるのは、1人の子供だった。
ムヒョですら、可愛いと素直に思う程、可愛らしい子供。
顔の半分くらいありそうな、大きな茶色の瞳…。 ややハの字に下がっているぽよぽよした眉。 小さな鼻。 ぷくぷくしたほっぺと唇は、ほんのりと薔薇色で…。 柔らかそうな金髪が、あちこちに跳ねている。
本当に、何ともかんとも愛らしい10歳程度の子供………。
「ああ…そうか…」
ぼんやりとしたまま、ムヒョは呟いた。 「オメェ、ロージーか……」 言えば、子供は驚いた様に大きな目を更に大きく見開いた。 「何で分かるの?!ムヒョ、すご〜い!」 さっきまでの不安そうな表情は何処へやら…。 茶色の瞳がキラキラ輝く。
ああ、ほら、間違いねぇ…。 やっぱり、ロージーだ。
「そりゃ、分かるに決まってんだろ」 ヒッヒと笑って、フワフワしたその頭に手を伸ばしかけ、 「あ???」 ムヒョはその手をマジマジと見つめた。 今、ロージーの頭へと伸ばしている手は、確かに自分のものの筈…。 けれど、何故かその手は妙に大きくて…。
「あのね、ムヒョ、もしかしたら分かってないかもだけど、キミ…大きくなってるんだよ!」
動きの止まったムヒョに、ロージーがそう言った。
一瞬の、間・・・・・・・。
「……何?」 「ウソみたいでしょ?でもホントなんだよ〜!」 起きてみて!と言われ、身を起こせば…ベッドからにょっきりと足が出ているのが見える。 思わず動くか試してみたり…。 長い足は二本ともちゃんと動いた。 「………」 「不思議だねえ、ムヒョ。どうなってるんだろうね?ボクがちっちゃくなって、キミが大きくなっちゃうなんて…」 「どうって……夢だろ…?」 「夢なの?」 ホント?と…。 首を傾げ、見上げる様は殺人級の可愛らしさ。 「……………」 ムヒョは暫くの間、そんなロージーを見つめていたが、やがてヒラリとベッドから飛び降りた。 そして、梯子に登っているロージーを、突然背後からひょいと抱き上げる。 「え?え?む、ムヒョ?」 突然の浮遊感にオロオロするロージー。 ムヒョは小さなロージーの身体を持ち上げ、観察して…。 「フゥン…、軽いな…」 何やら満足そうに呟いた。 「軽いって…そりゃ、いつものムヒョと同じ位だもん」 「…細ぇし…小せぇし…」 「あ、当たり前じゃんか〜!」 「ヒッヒ♪思った通りだな…」 「…え…?ムヒョ?思った通りって……?」 満足そうな、嬉しそうなムヒョの言葉を、ロージーが不思議に思っていれば、今度はぎゅうっと抱き締められる。 「わっ?!ちょ…っ?ムヒョってば…」 「苦しいか?」 パタパタと暴れられ、ムヒョは僅かに腕を弛めるとロージーの顔を覗き込んだ。 途端、かああとロージーの頬が赤く染まって……。
「……何で…そんな嬉しそうなのさ…」
困った様な顔でそう言うのに、更に笑みが深まる。 「さぁな」 はぐらかしながら、ふっくらした頬にキスをすれば、普段のロージーよりももっと柔らかなその感触…。
もし…。 もしも、ロージーが子供だったら…。
そうしたら、きっともの凄く可愛いだろうナと…。
そんな事を考えていた。
そして、もし、自分が大きかったら…。 ロージーよりも大きくなったら…。
そうしたら……………。
「……夢ってのはホントに都合がいいナ、全く…」 そう呟いてムヒョは苦笑した。 小さなロージーに大きなムヒョ…。 ムヒョが思っていた事のどちらもがいっぺんに叶った事になるのだ。 腕の中にすっぽりと収まって自分を見上げているロージーに再び唇を落とす。 ちゅ、ちゅ…と、柔らかで滑らかな肌に繰り返される口付け…。 「む、ムヒョってば…どうしたの?ね?ちょっと…」 唇が肌に落とされる度、ドキリ、ドキリと鼓動が跳ねて…。 次第に、体内で目覚めた何かが騒ぎ出す。 ハアと吐息を漏らす小さな唇を舐めれば、ロージーはビクリと身を竦めた。 「は…、む…ひょ……っ」 こんな子供の顔だというのに、それでも濡れた目元や唇は艶っぽく…。 ムヒョは熱に浮かされたようにキスを繰り返しながら、ソファへと場所を移した。 「ムヒョ?ね…、ちょ…っ、と…まさか…?」 不安げな瞳の中…映る自分。 それにニヤリと笑って…。 「…ああ、そのまさか、だ…ロージー…」 ムヒョはロージーの首元に口付けた。
+ ++ ++ ++ +
小せぇなぁ…。
シャツの中から現れた身体に、シミジミとそう思う。 子供の身体など、普段の自分で見慣れているはずだった。 だが、ロージーだからなのだろうか…。
その小ささに。 その柔らかさに。 その熱さに。
新鮮な驚きを感じてしまう。 撫でる手に、辿る唇に、されるままでいるロージー。 白い肌に紅く色づく胸の尖り。 小さくとも存在を主張しているそれをペロリと舐めてみれば、ビクリと身体を震わせて…。 「んん…、ぁ……ムヒョ…」 甘い声を聞きながら、ムヒョはそのまま更に下へと唇を落として行った。 瑞々しい肌。 柔らかな腹。 小さな臍をペロリと舐め、更に下へ…。 既に緩く勃ち上がっていたソレに唇を寄せ、ゆっくりと口に含む。 「あ、や…っ、あっ、あ…」 小さな身体には刺激が強すぎるのだろう。 今までおとなしくしていたロージーが、僅かに抵抗を見せて…。
流石に…ヤバイ事してる気がすんナ……。
夢であるとは思っても。 やはり、子供を行為の対象にする背徳感は否めない。
強制わいせつ罪ってヤツか……。 確か…刑法176条…だったか?
口にロージーを含んだまま思わず苦笑をすれば、そんな刺激すら拾ってしまったのか…。 「は…っ、やぁ…、ん…っ」 フルフルと首を振ってロージーが限界の近さを訴える。 「あっ、あ…むひょ…、い…ぁ…ああ、あ…」 視線を上げれば、真っ赤に染まったロージーの顔。 ぎゅうっと瞑った瞳からはボロボロと涙を流して…。 「あ…あ、も…っ、も…ぉ…」 ガクガクと膝が震える。 それらはいつもと同じで…ムヒョはふと目を細めながら…。 ちゅっと軽く吸ってやれば、いとも簡単にロージーは限界を迎えた。 そのままぐったりとソファに沈み、大きく荒い呼吸を繰り返す。 宙を彷徨う陶然とした視線…。 ぼんやりとしているロージーだったが、ムヒョが更に下…奥へと手を進めると、ハッと身を強張らせた。 「………っ!」 「…力を抜け、ロージー」 異物の侵入を固く拒む入り口をゆっくりと撫で、囁くムヒョ。 ロージーが涙の溜まった瞳で訴えるように見上げる。 だが、 「ロージー」 もう一度名を呼べば、ロージーは身体から力を抜こうと努力して…。 「は…ぁう…っ、ぅ…」 呻きを上げながら、それでもムヒョの指を受け入れた。 ゆっくりと中指の第二間接までを収めてから、 「痛ぇか?」 そう問えば、目も口も閉じたままでブンブンと左右に振られる頭。 自分のために耐えているロージーに堪らぬ愛しさを覚えて、ムヒョはそっとその顔に口付けた。 小さな身体の、小さなソコ…。 濡れた指をゆるゆると抜き差しして、徐々に、徐々に…内部を慣らして行く。 無体を強いていることは分かっている。 だからこそ、出来る限り苦痛を和らげてやりたくて…。 丁寧に、丁寧に…。 やがて、増やされた指にも慣れ、吐息にも甘い響きが戻ってくると、ムヒョはいつの間にか詰めていた息を吐き出した。 「…もう、いいか…」 短い呟きに、その意味を察して、ロージーがハッとムヒョを見る。 視線は自然にムヒョのソコへと吸い寄せられ……そして…。
「あ…っ、む、ムヒョ!ボク、やっぱり…、無理!」
ジタバタと、小さな足が空を蹴った。 小さな手が懸命にムヒョの服の袖を引っ張っている。 だが、それすらも、ムヒョの動きを制限する程の力はなくて…。
こんなに…体格差あるもんなのか……。 しかも…こんな…非力…なんだな…。
快楽に捕らわれているとはいえ、いとも容易く押さえ込むことが出来てしまう事に、今更ながら驚く。 思い浮かぶのは普段の自分とロージーの関係。 今までに、もう何度かこーゆーコトになった事はある。 小さな自分が、大きなロージーを…。
…逃げるつもりがあったら…いつでも逃げられたってことか…。 てゆーか…。 ロージーがホントに嫌がったら、オレにゃどうにも出来ねぇんだな…。
そう思えば情けないような気もするが、逆を考えれば、逃げないというのは、つまりそれだけ、ロージーはムヒョが好きなのだということで…。 その事に思い当たり、ムヒョは僅かに唇の端を上げた。 我ながら恥ずかしいとも思うが、それでもやはり、嬉しさの方が勝るから…。
「ムヒョ…、だってやっぱり、怖いよ…」
ムヒョが愛しさのまま口付けようとすれば、ロージーは何とも心細げな声を上げて…。 茶色の瞳が縋るように見上げているのに、クスリと笑ってみせる。 「怖かねぇだろ…」 「だってだって…むひょぉ…」 泣きそうな声で自分を呼ぶ、その小さな唇…。 ムヒョはそっと口付けを落とした。 「怖くねぇ。いつもと同じだろ?」 「…でも…、ムヒョ…大きいんだもん…。やっぱり怖いよ」 「大丈夫だ。今、散々慣らしただろ」 大丈夫だ、と…繰り返して…。 同じだけ、キスも繰り返す。 ロージーはまだ不安の残る顔でムヒョを見上げていたが、やがて…、 「…じゃ、じゃあね、ムヒョ…あのね…」 おずおずとそう切り出した。 「何だ?」 「…ぎゅうってして…」 この突然のお願いにムヒョは軽く目を見張り、それからヒッヒと笑った。
自分が子供だからなのだろうが、普段ロージーは『ああして欲しい、こうして欲しい』とムヒョにねだる事をほとんどしない。
そもそも、自分より身体の小さなムヒョに『ぎゅうっと抱きしめて欲しい』等とは……。
「いくらでもしてやるさ」 ホラよ、と…小さな身体を易々と抱き上げ、ソファに座り直してから、改めてぎゅうっと抱きしめる。 裸の胸がピタリと重なって…。 普段より早い互いの鼓動もまた…重なる…。 「…ムヒョ、大きいと優しいね」 エヘヘと何だか嬉しそうに笑って言うロージーに苦笑するムヒョ。 「んなこたぁねぇだろ」 「でも、いつもよりちょっと優しい気がするよ」 「…ちょっとかよ」 クスクスと笑い合って…甘いなと思う。
見つめ合う瞳。 交わす言葉と微笑み。 繰り返す口付け。 身体を辿る指先。 鼓動も、体温も…。
何もかもが…。
甘くて…優しくて……けれど、熱い。
そして、 「…いいよ、ムヒョ…もう、平気…」 大きな茶色の瞳に決意の色を乗せて、可愛らしい口付けと共にそう言ったロージーに、笑って…。 二人はそのまま濃密な快楽の波に呑み込まれた。
+ ++ ++ ++ +
大きくなったら…してみたかったコト…か………。
ぼんやりと目を覚ませば、ソファの上で…。 足下には読みかけのジャビン。 傍らにはロージーがいた。 「……フン…」 うたた寝をしていたらしい、と思いながら、何て夢を見てたのかと思わず苦笑が漏れる。
大きくなったら…してみたかったコト…。
それは、別にエッチなことなどではなかったのだ。 本当は…。
ただ、抱き締めてみたかった。
いつも、ロージーにされるように。 ロージーを包み込むように抱き締めてみたかった。
抱き上げたり、おんぶしたり…いつもされる事を…。
見上げる瞳を、上から見つめてみたかった。
いつも下から見ている顔を…上から……。
「…情けねぇナ…」
全く情けない話だ、と。 自嘲気味に笑って…ムヒョは溜め息を付いた。 何と小さな望みかと…、そう思えば苦笑しか出てこない。
そして、それ程までにロージーに心を奪われているのだと…それを思い知らされて…。
手を伸ばし、くしゃりと柔らかな髪を掻き混ぜれば、 「…ん…ムヒョ?」 当のロージーはパッチリと目を開けた。 「あれ…?」 「どうした?」 「うん、ボクねぇ、今スゴイ夢を見たんだよ」 「…ほう?そりゃどんな夢だ?」 「えっとね…」 ロージーは思い出すように少し遠くを見て…それから、フフと嬉しそうに笑った。 頬が僅かに紅く染まっている。 「…やっぱりヒミツにする」 「何だそりゃ」 「へへ♪でもね、いい夢だったんだよ♪」 「ほう…」
いい夢…か…。
ロージーの言っている夢が、どんな夢だったのか…。 まさか、自分と同じ夢を見ていたわけではあるまいと、そうは思うが…。 気にはなっても、聞こうとは思わなかった。
ロージーが幸せそうに笑うから…。 ロージーがいい夢だと言ったのだから…。
ならば、それでいいと…。
そんなことを思う自分に心の中でフンと笑って…。 「オイ、んなことより、腹が減ったゾ」 ジャビンを広げながらそう言えば、ロージーはハッとしたように時計を見た。 時刻は昼を三十分ばかり過ぎたところ。 「あ、ホントだ!もうこんな時間だね!ちょっと待ってて、スグ用意するから」 バタバタとキッチンへ向かい、オレンジ色のエプロンを手早く付けて、冷蔵庫を覗くいつもの姿…。 ジャビンの陰から何とはなしにそれを見ていれば、突然、ロージーがクルリと振り返った。
「ねえ、オムライスでいい?」
太陽のような笑顔。 呑気な言葉。 頷けば、腕まくりをして張り切って…。 手慣れた様子で料理を始める。
小せぇのも可愛かったが…。 やっぱ…こっちのがいいな。
「…ま、あんま変わんねぇっちゃ、変わんねぇがナ…ヒッヒ♪」
ムヒョは笑いながら、そう呟いた。
それは、六氷魔法律事務所の、実に平和なある一日の事だった…。
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2006年1月……初めてムヒョでイベントに出た時に出したコピ誌です。 初めてのイベントでこんなイロモノを出してたとゆー辺りが、ちょっとビックリなんですが。 原作よりの話をオフで1冊作ってたからこそ、コピは書きたいモノ書いちゃえ!な気持ちになったんだろうな…と。。。。 思うけど、思うけど…やっぱ今読み返すと、何故イキナリこんな末期ネタ!とか(笑) ムヒョロジ!恐ろしいカプだぜ!!!(笑)
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2008/03/30(日)/00:15:07
No.82
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