Happy Birthday ☆ for Muhyo
|
|
|
あれはいつだっただろうか…。 何の話の流れからか…誕生日を聞いたら、ムヒョはしかめっ面をして…。
「…誕生日なんてものにゃ、いい思い出はねーんだがナ…」 とゆー前置きをした後に教えてくれた。
1月23日だ、って。
いい思い出がないって…どういうことだろう? あんまりお祝いとかして貰えなかったのかな…。
ボクはムヒョのことをほとんど知らないから…。 そんな風に思って、そして、決めたんだ。
じゃあ、次のムヒョの誕生日は思いっきりお祝いして上げよう!って……。
「…なのに……」 はああ…と憂鬱そうに溜め息を付いて、ロージーは生クリームをかき混ぜる手を止めた。 「間が悪いよね〜…ホント…」 小さなベッドの上には、小さな盛り上がり。 それは規則正しく一定の間隔で静かな上下を繰り返して…。 すやすやと、この部屋の主であるムヒョが安眠していることを示している。 それは、この事務所ではよく見られる、一般的な光景…。
魔法律を執行した後、執行人は減少した煉を回復させるため、眠りにつく。
個人差はあるが、ムヒョはいつも二、三日は眠り続けるので……。
「…今日なんか…起きないよねぇ……」 あーあ…と思いながら…。 それでも、ケーキを作る手は休めない。
でも、もしかしたら、起きるかも知れないもんね…。 そしたら、目一杯お祝いしてあげよう。
フワフワのスポンジを二つに切り、真ん中に生クリームとフルーツを挿む。 上にも周りにも綺麗に生クリームを塗って…。 その上に花や飾りを器用に描き、真っ赤な苺を丁寧に並べ、最後はチョコレートでHappy Birthdayと祝いの言葉を…。
「よぉし、完璧!」
店で売られていても不思議ではないくらいの出来映えに満足し、ロージーはニッコリと笑った。 料理の下拵えも出来ている。 後は主役さえ目を覚ましてくれれば完璧だった。
……ムヒョ…起きたらいいのにな…。
ハア…と、ロージーが本日何度目かの溜め息を漏らした時だった。
「いよーーぉ!ムヒョ、おめでとー!」 「おめでとーー!」
突如、本棚がバァーーンと開き、その後ろの壁からビコとヨイチが現れた。 「!!!」 思わず、ムヒョを庇うようにベッド脇へと駆け寄ったロージーだが、現れた二人を見れば、あんぐりと口を開けて…。 「え?え?ヨイチさん?ビコさん??」 「よお、ロージー!何だよ…ムヒョの奴、寝てんのか?!」 「折角、お祝いに来てあげたのに!」 「起こせ起こせ!」 「起こそう起こそう!」 二人は寝ているムヒョを見ると、そう言いながら駆け寄る。 「ちょ、ちょっと…、二人とも…!」 ゆさゆさとムヒョを揺する二人に慌てて、ロージーが止めようとすると、 「ロージーだって、準備してたんだろ?」 逆にそう言われてしまって…。 「え…、いや、そりゃ、まあ…」 「んじゃ、固いこと言うなって☆」 「そうそう。ムヒョはボク達が起こしておくから、ロージーは準備を続けてくれ」 「はあ…」 ロージーはこの時、何とな〜く、この後起こるであろう事態を理解した。
きっと…、この後ペイジさんとかも来るんだろうナ…。 ナナちゃんやケンジ達も来るし…。 …エンチューとかも来たりしてね…いや、まさかとは思うけどね…。
ムヒョの言っていた『誕生日にロクな思い出がない』と言うのは、ロージーの思っていたことの逆だったのではないだろうか。 毎年、みんなに祝われて…きっと、とても賑やかで…。
もう、ムヒョったら、ホントに素直じゃないんだから…。
そう思うと何だか可笑しくて、ロージーはクスクスと笑ってしまいながら…。 下拵えの済んでいる料理の数々の調理に掛かる。 人数が増えた分、何かもう一、二品、料理を増やした方がいいかもしれない。 頭の中でメニューを反芻し、冷蔵庫をチェックして…。
「…ウルセェッ!何でオメーらがここにいんだ!」
聞こえてきた待望の声に振り返れば、起きたムヒョがヨイチに蹴りを入れているところだった。 いつもなら止めるそんなやり取り。 でも、今日は特別だから…。 ロージーはイソイソと三人の元に寄って行く。 「おはよう、ムヒョ♪」 「あ?ロージー!何でコイツらがいんだよ!」 眠りを妨げられ怒り心頭のムヒョにニコニコ〜と笑いかけ、それからチラリとヨイチとビコを見て…。 「?」
「お誕生日おめでとう!ムヒョ!」
訝しげなムヒョに、三人は声をそろえて言うのだった。
++++++++++++++++++++++++
1/22のロジ受けオンリにてペーパーに挟んで配布させていただきました☆ もっとムヒョロジでラブラブなのでも良かったのですが…何となく、みんなに愛されてるねぇムヒョv的なモノを書いておきたかった、とゆー。
ま、なにはともあれ、ムヒョさんお誕生日おめでとう〜vvvv 大好きだ!(告)
|
|
2006/01/23(月)/23:25:56
No.12
|
|
|