【*・・ 初恋 ・・*】


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ムヒョロジSSコーナーです★ニセモノ&イロモノ多発中注意!(爆)
*・・ 初 恋 ・・*  


運命なんてモノを信じたことはなかった。

ときめく、なんて事も知らなかった。

愛だの恋だのなんてモノは、頭からてんでバカにしていた。

そんなモノは自分には何の関わりもないモノと、そう思っていた。

ソイツが……ふらりとやって来たその時まで……。


 ・ * ・ * ・ * ・


一目見て、何かを感じたのだ。

そんなことはあるはずナイと思ったが…。
確かに…その少年が店内に入ってきた瞬間、ムヒョの視線は吸い寄せられて……。
鼓動が大きく高鳴って…。
薄暗い店内が、急に明るくなったようにさえ感じた。
恥ずかしい話だが、騒ぎ出した使い魔達の鳴き声が、何やら別のモノに聞こえた程だったのだ。

まるで、二人が出会ったことを祝福した……そんな風に…。

馬鹿馬鹿しい…。

胸を満たした甘いモノを一瞬で否定して、ムヒョは店を出た。
だが、出る間際…その少年が自分の元へ来るつもりなのを聞いて……。
思わず笑みが漏れてしまう。

アイツ……面接受けに来るのか…。

「ヒッヒ」

助手選び等、面倒くさいだけだと思っていた。
自分が本当に気に入る者等、見つかるはずはないと…。
何処かで妥協しなくてはならないのだろうな、等と…そんな風に思っていたのだ。
だが、今、ムヒョの心はウキウキと沸き立って…。

「ちっ…仕方ねぇな…急いで帰るか…」

面接会場までの道のりを、いつになく早足で帰る。
イソイソと、ウキウキと…。
元気に扉を開ければ、待合室は既に助手希望の者達で溢れかえっていた。
皆が皆、野心に溢れ、それを隠そうともせず、鬼気迫る形相で…。
この会場から怨念の集合体が現れても何ら不思議はない…そんな張りつめたムードに、ムヒョの浮き立っていた心も一瞬で沈み、やれやれと疲労さえ感じながら面接会場のドアを開ける。
くだらない、めんどくさいという思いが再び胸を満たし、暗い室内で開始を待つ二人の審査員への挨拶もそこそこに、ムヒョはソファへ腰掛けると持ってきたジャビンを広げた。

ムヒョは今までにもう2回、面接を行っている。

だが、その2回とも、集まったのは待合室にいたような者達ばかりで…。
皆が皆、世界一若い執行人であるムヒョの助手になることで、自分の名を上げたいというような輩ばかりだった。
「…くだらん…」
知らず、溜め息が出る。
大好きなジャビンのマンガ達も、今日はなかなか心を和ませてはくれない。
待合室に満ちた邪気にも似た空気にあてられてしまったのだろうか、とチラリと思い、苦笑する。
そんなタマではないことは、自分が一番よく知っているからだ。
ペラリ、とページを捲ると、リコピンマンの大冒険という漫画が始まるところで…。
先週号からの続きに、ふむ…と意識を集中させた時だった。
ガチャリとドアが開いて誰かが入って来たのは…。
ムヒョはそれには気づかぬフリをしていた。
どうせ、協会の者か何かが、審査員のどちらかに用でもあって来たのだろうと、それくらいに思って…。
けれど、その人物は、あろうことか自分のすぐとなりに腰掛けた。
しかも、

「こんな暗いトコでマンガ読んじゃダメだよ、ボク」

さらにあろうことか、まるっきりの子供扱いで話しかけてきたのだ。

ムヒョは、驚くやら呆れるやら可笑しいやらで、一瞬、何とも複雑に顔を歪める。

あの店に来た少年だということはすぐに分かった。
何かを言おうとして…、

「のぞくんじゃねぇ」

思わず出たのはそんな一言…。
流石に、しまった!と焦ったものだったが、感心なことに少年はめげなかった。

「そのジャビン今週号?リコピンマンの大冒険いいよね〜、すっごく好きでさぁ」

ムヒョの読んでいた紙面を覗き、気さくな様子で話し続ける。
自分が誰であるかを全く知らない所が、本当に呆れてしまうほど意外なのだが…、ムヒョにとっては逆に好ましかった。

この部屋の外にいる者達とはまるで違う、無垢な魂を感じる。

ここへ面接を受けに来たのだから、少しくらいは欲があっても良さそうなものなのに…。
そんなものは微塵も感じられず、何をしに来たのかと聞きたくなるくらい、のんびりとした様子で…無邪気な瞳に憧れを乗せ、自分に勇気があったらと語っている。

「勇気があって冒険に出れたらどんなにか楽しい毎日だろうって思うんだ」

「…………」
その顔に思わず見惚れてしまったムヒョは、そこでハッと我に返った。
「アホめ」
慌てて席を立ち、そう言い捨てながら部屋の奥へと走り出す。

ったく…ありえねぇな……。

ドキドキと煩く騒ぐ鼓動を隠し、執行人用に用意された席へと着いて…。
審査員の二人には、笑みさえ見せて面接の開始を告げ、驚く少年の顔を見つめながら……。
もう決まってしまったのだ、と。
心の中で自分の決定を噛み締める。

初めて見た瞬間に、決まったのだ。

そう、これが運命なのだ、と…それを知って…。

ムヒョはヒッヒと笑った。
全く、危ないところだった。


『なら、オレと一緒に来い。冒険みたいな毎日をくれてやる』


さっき、危うくそんなことを言いそうになったのだ…。
憧れを素直に語る少年に…。
思わず、その願いを叶えてやりたくなった。

全く、まるでプロポーズじゃねぇか…。
参ったな、こりゃ…。
ま、助手になりゃ寝食共にするわけだからな…変わんねぇか…。

ニィッと笑みが深くなる。

「えっと…、く…草野次郎です…!」

カチコチに緊張しながら、告げられた名前…。
それを胸の内で繰り返して…。
何と呼ぼうかと…既にそんなことを考えながら…。
ムヒョはこれから先を考えて、一人楽しげに笑うのだった。


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『ときめきにはこの世界に生まれてきたワケがある』そうですよ☆ (by.V6)

とゆことで、ムヒョさんは絶対一目惚れだった!と信じてやまないナナセであります。
初恋な〜、いいよなぁ、初めてモノは(何か違う意味に聞こえるぞ…)
ムヒョとロージーの出会い話を見て、シンデレラを思い出したのは私だけなのでしょうか……。。。
あれって王子様のお妃様選びだよね〜!
パパもいるしv(もう勝手にペイジさんパパにしてるよ……ま、いいか☆)
 2005/12/08(木)/11:05:46  No.2



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