+ アイルーキッチンで朝食を★ Episode;00−1 +

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傾向; 典芬

アイルーキッチンで朝食を★ ■ Episode; 00-1



わ〜…、今日も沢山来てるなぁ…。

いつも開いたままになっている玄関のドアの陰から、そっと外の様子を窺って…。
フィンランドは複雑そうに顔を顰めた。
その視線の先には、アイルーを沢山連れた口利き屋のギリシャの姿がある。
アイルーというのは獣人種のひとつで、単純に言うならネコと人との混合種だ。
真っ白な三角耳と、長い尻尾を持つフィンランドも、このアイルーである。

「あっ!スーさんっ!」

広場にいるアイルー達をぼんやりと眺めていれば、その横から聞き慣れた足音が聞こえてきたから…、フィンランドはパッと顔を輝かせると、坂道を上ってきた主人に声を掛けた。
『スーさん』ことスウェーデンは、フィンランドの声にコクリと頷く。
何やら険しい顔をしているが、別に怒っているわけではない。
というか多分、今は結構な上機嫌の筈で…これが他の人物であれば、満面の笑みを浮かべている事であろう。
彼に雇われて数日の間は、ムスッとしたその顔が怖くて怖くて堪らなかったフィンランドだが、最近では大分慣れてきたから…。
「スーさん、お帰りなさい!お疲れ様です!」
そう言ってスウェーデンに駆け寄ると、ニッコリと微笑んだ。
「ん、ただいま」
帰宅した主人が無事であるのを確認すると、フィンランドの笑顔は深くなる。
「ご飯にしますか?先にお風呂がいいですか?」
「んー、風呂。でも、腹減っだ…」
「じゃあ、先に軽く何か摘んで下さい♪お風呂は、もう湧くと思いますけど、今見てきますから…」
「ん、そうする」
スウェーデンの後ろから家に入り、彼が装備を外している間にキッチンへと駆け込んで。
フィンランドは、食材の棚から粉吹きチーズとクズ肉ジャーキーを取り出すと皿に盛った。
それとホピ酒をグラスに入れて、一緒にテーブルへと運ぶ。
「よし☆」
それから今度は急いでバスルームへと駆けていった。
湯の温度は丁度いい位。
雪山草の入浴剤を放り込み、また湯船を掻き混ぜて、フィンランドはよしよしと満足そうに頷くと、キッチンへとって返す。
余程腹が減っていたのだろう、スウェーデンはジャーキーを頬張りながら、ホピ酒のグラスを空けたところで…。
お代わり要るかな、なんて調理場に入れば、
「あれ、これは?」
調理台の上に置かれた大きな肉の塊と魚を見つけ、目を丸くする。
「土産」
チーズもペロリと平らげたスウェーデンが、短くそう言って頷いた。
「わー、ありがとうございます!」
「ん、いっぱい採れたがら」
「スーさんは本当に狩りがお上手ですねぇ」
いつもいろいろなお土産を持ってきてくれる主人に、フィンランドは感心して言う。
この調子なら、もしクエストの依頼が暫くなかったとしても、食べて行くのは容易そうだな、なんて思ったり。
まあ、実際には、毎日いろいろな依頼が入ってきて結構多忙だったりするので、そんな心配をすることもないのだが…。
フィンランドがチラリとそんな事を思っていれば、スウェーデンは無言で席を立ち、そのままバスルームへと向かって歩き出した。
「あ、ゆっくり温まってきて下さいね!」
そう声を掛ければ、それには「ん」と、小さな頷きを返す。

誉めたから照れちゃったのかな…。
スーさんって顔恐いし、身体大きいのに、時々妙に可愛いよね。

バスルームに続くドアへと消えた主人の後ろ姿を暫し見送り、フィンランドはプススなんて笑うと大きなその『お土産』を、何とかかんとか保存庫へとしまい込んだ。


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